玉三稲荷神社(桑名市大字上野)は、全国に約3万社ある稲荷神社の総本宮・京都の伏見稲荷大社の現存する最古の支部。同神社には、お互いの尻尾を結び合って巻き付く2匹の白蛇の姿が浮かび上がる天然石「白蛇石」がある。古来白蛇は弁財天の化身とされ、金運向上や家運繁栄などのご利益があるそうだが、つがいの白蛇には良縁・縁結びのご利益も。同神社で話を聞いた。
「2015年の12月、祭壇裏を掃除していた際、偶然見つかりました」と語るのは、安藤哲夫宮司の妻・都世美さん。当時、同神社に嫁いで32年目だったが、女人禁制のしきたりがある祭壇の奥に入ったことはなかった。その日初めて「祭壇には触れず裏を掃除する」許可をもらった都世美さんの目に留まったのは、狐の陶器や置物などの中に紛れていた白い風呂敷包み。「重たい。なんだろう?」と包みを解くと、「蛇石」の銘が入った立派な木箱から2匹の白蛇の姿が鮮やかに浮かび上がる石が出てきた。「関宿大字坂下の川原で見つけた石で、又五郎さんという人が大切にしていたが、息子の代で奉納した」との由緒書もあったが、残念ながら年号等の記載がなく、はっきりとした年代は不明だ。
【玉三稲荷神社拝殿】
白蛇石の裏側を見せてもらうと、確かに2匹の尾と尾がつながっている。目の部分もはっきりしていてまるで化石のように見えるが、まぎれもなく天然の石だそうだ。「専門家の鑑定の結果、石の黒い部分は海底の泥、白い部分は花崗岩で、川に流されているうちに自然に2匹の蛇が埋め込まれたような造形になったんですって」と都世美さん。不思議なことに、全く関係のない複数の人に「雌の目がまばたきしていますね」と言われたことがあり、どちらが雌なのか尋ねると、決まって同じ蛇を指されるという。「畳を這う音がする」という人もあり、ご利益に預かろうと多くの人が、二度三度と足を運んでいる。
参拝者の間では、白蛇石の写真をあつらったカード型の「白蛇守」(1000円)が人気だ。安藤宮司を補佐する禰宜(ねぎ)を務める長男の孝信さんは、「カード型なので、財布などに入れて肌身離さず持ちやすく、常にパワーに預かっていただけます」と話し、「金運向上や家運繁栄といったご利益も、人と人とのご縁やつながりがあってこそ。ぜひお参りください」と呼びかけた。
白蛇石は、社務所に声を掛け、無料で拝観できる。時間は午前8時半から午後4時半まで(御朱印授与も同時間)。問い合わせは、同神社TEL0594・22・0191へ。