帰国前にモデルショー企画 バディ族のサリータさん 子どもにチャレンジの大切さ伝える

130

【子ども達とショーに参加したサリータさん(左端)】

 ネパールのバディ族は、「我が子を売らなければ今日食べるものがない」というほど、今も残るカースト制差別に教育や就労の機会を奪われ、人身売買の危険にさらされている。サリータ・バディさん(26)は1年前に来日し、英会話教室で働きながら、バディ族への支援を訴えてきた。11月末に帰国する前、全ネパールモデルコンテストで「ベストウォーク賞」を受賞したスキルを生かし、子ども達がモデルウォークに挑戦するショーを、四日市キリスト教会で開いた。

【ポーズを決めるサリータさん】

 9歳で支援団体に救出されるまでは、食べ物にも事欠き、読み書きもできなかったサリータさんは、養護施設に身を寄せ学校に通った。姉と2人で独立し養護施設を立ち上げ、バディ族の子どもたちを保護し育て始めた。サリータさんはネパールで様々な仕事にチャレンジしたが、差別のため叶わなかった。モデルオーデションを受け合格し、審査員からの支援も受けたが、プロにはなれなかったという。

 日本で焼菓子を販売し、収益の一部をバディ族の支援に充てる「BADI CAFE」の運営をしている四日市市のウィリアムズゆりさんの招きで来日。「アットホーム英会話教室」(四日市市室山町)で働きながら、大学などで講演し、バディ族の支援を求めてきた。

堂々とランウエイ歩く
  
 ショーが開かれたのはサリータさんが帰国する4日前の11月24日。参加した中村都希歩さん(10)は、モデルになるのが夢の一つだったが、ショーに出るのは恥ずかしく、レッスンだけ申し込んだ。練習を重ねるうち、「ショーにチャレンジしたい」と思うようになった。当日堂々とランウエイを歩き、拍手を浴び「楽しかった」と笑顔になった。

【ポーズを決める中村さん】

 サリータさんはネパールで支援団体の救出の申し出に、最初に手を挙げた少女。支援団体を信用できず「売られてしまう」と皆が躊躇してしまう中、9歳で親元から離れる決心をした。養護施設を立ち上げ、モデルにも挑戦、言葉の通じない日本にもやってきたチャレンジ精神の持ち主。奇しくも親元を離れた年齢と同じくらいの少女にチャンスを与えた。

【ランウエイを歩く子どもたち】

 サリータさんは、「コンテストで受賞したのは神様からもらった才能のおかげ」と考え、「子どもたちも一人ひとり、神様から授かった才能がある。チャレンジすることを教える機会がもらえて、本当にうれしい」と語った。バディ族の支援のための寄付金付きの焼き菓子は「BADI CAFE」のサイト(https://www.badicafe.com/)で購入できる。

 サリータさんは「一滴の水が海になります。私たちはどんなに小さなサポートもいつも感謝しています。一滴一滴がバディの子へのかけがえのない力になり、新しい未来を切り開きます。バディ族への愛と支援をよろしくお願いします」と語った。