三重県四日市市の森智広市長は10月29日、現職として3選に挑む市長選挙が11月に迫ったのを機に、市政担当記者の質問に応じる形で、次の4年に向けた政策などを説明した。「中心市街地再開発プロジェクト」「子育て・教育」など8つの柱でできている。
森市長は、2期目の多くが新型コロナウイルスの感染拡大に対応した仕事で、「行政が市民の命を守る立場であること」を大きく実感したという。任期後半は、「街を盛り上げないといけない」と活性化に取り組み、中心市街地の再開発などが一歩ずつ着実に進んだとした。
次の4年に向けての政策は、「31万人元気都市宣言!2024~2028 未来に続く『まちづくり』を推し進める」のタイトルでパンフレットにまとめられた。筆頭にあげた「中心市街地再開発プロジェクト」について、森市長は「四日市が発展を続けるために、多くの人を魅了することが必要で、その中心に市街地の再開発がある」とし、「官が投資して終わり、ではなく、民間の投資が加わって、それらが循環していくことが理想だ。市街地再開発の効果で、ホテル、オフィス、マンションなどの民間計画が多数動き出している」などと語り、四日市の産業活動が好調で余裕がある今だからこそ、将来に向けてのまちづくりが必要だとの考えを述べた。
1期目から掲げてきた「子育て・教育」では、全小中学校の体育館・武道館の空調整備を「4年間でやり切りたい」と話した。保育園などの待機児童をゼロにするために、保育士確保に取り組んでいることも説明した。子どもへの施策では今回、「健康・生活・スポーツ・文化」の柱に「こどもみらいクーポン事業実施」を掲げ、小中学生が芸術鑑賞やスポーツ観戦などに親しむ時間を持てるよう、入場などに使えるクーポンを配布するとした。
森市長が政策のパンフレットに掲げた8つの柱と具体策は以下の通り。
■中心市街地再開発プロジェクト
「『バスタ四日市』の開業」「円形デッキ等の整備」「新図書館の早期整備」「JR四日市駅前への大学設置」
■子育て・教育
「全小中学校の体育館・武道館への空調整備」「こどもの居場所づくりへの支援」「保育所等の待機児童ゼロの達成」「不登校児童生徒に対するきめ細やかなサポートを実施」
■産業振興、都市インフラ整備
「北勢バイパス等の広域幹線道路の整備促進、渋滞対策」「新たな産業用地を確保し、更なる投資の創出」「新たな地域特産品の産出」「都市機能を向上させる『港湾計画』の策定」
■健康・生活・スポーツ・文化
「介護予防、認知症対策の強化」「こどもみらいクーポン事業を実施」「体育館・武道館への空調整備」
■地域力の向上・防災減災
「公共交通の新しい形を創出」「団地再生の取り組みを推進」「石原・塩浜地区海岸保全施設整備の推進」「避難所の環境向上」「市内全地区に足を運び現場の声を拾い上げます」
■シティプロモーション
「ご当地グルメでまちおこしの祭典「B-1グランプリ」全国大会の誘致」「ネーミングライツ、広告等による新たな財源確保」「民間との連携による大型イベント開催」「ふるさと納税による財源流出の縮小」
■環境
「コンビナートのカーボンニュートラル化を推進」「地域新電力会社を活用し、再生可能エネルギーの普及」
■市役所改革
「行政DX、デジタル化の推進」「魅力ある職場づくりを進め、選ばれる市役所に」「各部署の朝礼回りを継続」
四日市市長選は11月17日告示、24日投開票の日程で、元市議長小川政人さんも立候補の意思を表明している。