世界で活躍するバレエダンサーを目指す、四日市市出身のファズリウ埜雅さん(15)。市立内部中学に通う3年生だったが、8月に親元を離れて本場フランスに渡った。言葉も文化も違う国で夢を叶えるため、大きな一歩を踏み出した。
ファズリウさんは、アルバニア人の父と日本人の母の間に生まれた。幼児でありながら、手足を上げた時まっすぐに伸びていることが、バレエ向きの体型だと気付いた母の勧めで、3歳の時に「C・J・Gバレエスタジオ」(四日市市羽津町)に通い始めた。ミニバスケットボールと両立していた時期もあったが、次第に踊る楽しさやバレエのエレガントさに魅了され、中学入学時にバレエ一本に絞った。
1年生の時に参加したワークショップで、パリオペラ座バレエ団の指導者から「フランスのバレエに向いている」と認められ、パリで開かれた短期研修に参加。本場に触れ、バレエダンサーへの思いが芽生えた。
2年生の時には、世界の若いダンサーを対象とした国際バレエコンクール「ユースアメリカグランプリ日本予選」で上位12人に選ばれた。スカラシップでベルリン(ドイツ)、オスロ(ノルウェー)、パリの国立バレエ学校に短期留学。本命のパリ・コンセルヴァトワール(パリ国立高等音楽・舞踊学校)を受験して合格し、今年9月からの長期留学が決まった。
言語は両親共通の英語は話せるが、フランス語は話せない。短期研修で渡仏した時、英語が話せても、フランス語でしか話してもらえなかった。渡仏後は公立中学に通ってフランス語で授業を受けるが、授業についていけないのは承知の上だ。
食事面はやや不安で、ベルリンで食あたりになったことがある。寿司や和食が好きで、「うなぎが食べたい」と思った時は蒲焼の写真を眺めて我慢したこともあった。
恩返ししたい
これまで伸び悩んで悔しい思いをしたり、肉離れを起こしたり、痛みに耐えて練習したこともあったが、つらい時は母や恩師、友人が励ましてくれた。 長期留学により大切な人たちと別れることになったが、「寂しがる時間がもったいない。世界的なバレエダンサーになって支えてくれた人たちに恩返ししたい」と前を向く。
言葉の壁も、頼れる人がいない不安も、覚悟の上。ファズリウさんは世界で活躍するバレエダンサーになるため、前だけを見て歩んでいく。