大地震など「不測の事態」を考える、四日市で「5者連携セミナー」開催

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【大地震への備えについて解説する川口淳教授】

 「2024年度第1回ユマニテクプラザ5者連携セミナー」が9月12日、三重県四日市市のユマニテクプラザであり、「不測の事態に備える」をテーマに専門家が講演した。大地震や企業が直面するリスクへの対応など幅広い内容で、企業や役所、教育機関、警察、消防などの関係者らが、ウエブ聴講を含め約110人参加した。

 5者連携は、三重大学、東京大学、三重県、三重県産業支援センター、みえ大橋学園が2019年に「知の拠点づくり」を目指して協定を締結、セミナーは年2回開催している。今回は、年初の能登半島地震、8月の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表があったためか、目立って参加者が多かったという。

 最初の講演は、「巨大地震に備える」と題して三重大学大学院工学研究科の川口淳教授がマイクを取った。川口教授は、1959年の伊勢湾台風を契機に災害対策基本法ができてハード面での整備が進み、1995年の阪神淡路大震災で自主防災が注目され、2011年の東日本大震災では想定外に対する本気の自主防災が必要とされ、今、これから起こりうる南海トラフ巨大地震へどう準備するかが問われているという、大きな防災の歴史の流れについて解説した。

 今後について、川口教授は絵に描いたような想定での防災訓練を機械的に繰り返すのではなく、本当にどんな事態になるのかを考え、その地域独自の準備などを企業のBCP(事業継続計画)のような形で真剣に考える必要があると説明。能登半島地震でも明らかになった被災地の役所が機能しない場合の相互支援についても考えていくべきだとした。「南海トラフ巨大地震が発生する可能性は小さいかも知れないが、南海トラフ地震の発生は間違いなく可能性がある」として、今からの備えの大切さを説いた。

 2人目の講師は東京海上ディーアール株式会社ビジネスリスク本部の上級主任研究員中村静華さんで、テーマは「企業とリスクマネジメント」。中村さんは、リスクマネジメントの最新の考え方について、「リスクについて、組織を指揮統制するための調整された活動」であり、「平常時の活動で、その事前の対策がその後の対応全ての成否を決める」などと要点を解説した。

企業とリスクマネジメントについて語る中村静華さん

 企業の場合を例に、重視されているリスクを上位から①コンプライアンス違反、ガバナンス問題②労働・雇用問題③情報・システムリスク④地震・噴火・津波⑤製品・サービスの欠陥、などと受け止められていることを紹介した。

 大地震や風水害のリスクは、ほかのリスクと異なり、経営にとってマイナスのみとなる可能性が強く、リスク頻度は大きくないものの、いったん発生すると影響は甚大になる。BCPを練り、もし、通常の事業活動が中断された場合も、優先する業務を継続させて最低限のサービスレベルを保ち、求められる期間内に業務を再開できるよう事前に準備しておくべきとした。