予想と違う出来上がりも大切な体験、四日市の「やきものたまご創生塾」で初窯

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【作品を窯から出した研修生たち。奥でこちら向きなのが講師の宮本晋さん=四日市市東阿倉川】

 萬古焼業界の将来の担い手を育てる「やきものたまご創生塾」の初窯が9月4日、三重県四日市市東阿倉川の県工業研究所窯業研究室であり、4人の研修生にとっての初の作品となる湯飲みや茶碗、皿など計110余点が焼き上がった。焼くと縮むなどの理論は分かっていても、想像していたのとは違う出来上がりの作品も多く、研修生には貴重な体験の場になったようだ。

 現在、塾で研修しているのは第17期生で、20~50歳代の4人(男性1人、女性3人)。全くの未経験者だったが、5月からろくろでの形づくりなど基礎をしっかり学んできた。焼き物の基本となるカップ、茶碗をメインに、皿などもつくり、オリジナルのデザインの色付けもし、9月2日の朝から夕にかけて研究室のガス窯で焼成し、冷ましてきた。

 4日朝、ガス窯の扉を開けてみたところ、研修生の反応は「やった」といった感激より、「あれ?」という疑問に近かったという。理論通りに釉薬などを施したつもりでも、出来上がりは「イメージしていたものと違った」という。

 それでも、講師の陶芸家、宮本晋さんは、今回の出来具合を誉めている。週3日、4人を教えてきたが、「みなさん、すごく成長している。焼きものが好きで来ているからでしょうが、上達が早い。中には、とても興味深い出来の作品もありますよ」と話した。

 すぐには思い通りにならない焼き物の世界の深さを知った4人。今後、さらに勉強を重ねていく。

「これなんか、面白いですよ」と講師の宮本晋さんが手にした幾つかの作品のひとつ