三重県四日市市の市民団体が提出したPFAS汚染の実態把握を市に求めた請願について、8月30日に開いた市議会の都市・環境常任委員会は、採決期限の延期を決めた。この請願は、6月定例月議会で結論を出すことを保留する意味合いで採決期限の延期が決まって今議会を迎えたが、本会議での審議は残るものの、今回も先送りされる可能性が出てきた。
委員会では、市側から最新の6月の水質検査の結果が報告された。前回の議会では、委員から「最新の調査が目の前なので、その結果を見てから判断すべきでは」との意見があり、採決期限の延期につながっていた。
河川への排水の影響を調べる水質調査では、海蔵川と、あらたに加えた三滝川など計3カ所のポイントでのPFASの数値(PFOS、PFOAの合算値)が、33ng/L、28ng/L、26ng/Lと、いずれも暫定指針値の50ng/Lを下回ったと報告された、水道水の検査についても、市内8つの配水エリアの給水栓(蛇口)で暫定値を下回り、取水した原水が集まる5カ所の水源地を市が独自に検査した結果でも暫定値を下回ったと報告された。
委員からは「大切なのは、二度と公害を繰り返さないと誓った四日市市としての方針だ、その観点から、どんな取り組みを考えているのか」と質問が出た。市は「調査結果で暫定指針値を下回れば、通常なら何もしないことにもなるが、三滝川の上流の地元から、調査をしてほしいとの要望も出ており、上流へさかのぼっての調査は前向きに考えていきたい」などの回答があった。
委員からは「地元が言うからという消極的なことではなく、市として積極的に取り組む必要があるのではないか。企業も独自に排水対策に乗り出しているようだが、何かで市も支援を考えるなどしなければいけないのではないか」などの意見もあった。
討論を経ての採決では、期限延期賛成が多く、委員会として延期すべきものと決めた。延期の期限は次回定例月議会の最終日までとなるが、さらに延期していくことも可能だという。