歴史の知識を生かし、四日市市立博物館と、久留倍官衙遺跡公園で、解説ボランティアを務める四日市市東坂部町の伊藤鈴子さん(77)。活動が元気の源になっている。
63歳で大手スーパーを定年退職後、かねてから興味があった歴史を学びたいと、大学の通信教育を受講。会社員時代の先輩に同博物館の解説ボランティアに誘われ、「古代史など学んだことがそのまま生かせる」と応募。研修を受け67歳から同博物館で解説を始めた。今は月に4日ほど活動している。
新しい歴史的解釈を知ったり、来場者から教えてもらうこともある。同館の副館長による研修では、高度経済成長期に敦賀湾と伊勢湾(四日市)を繋ぐ日本横断運河の構想が持ち上がっていたことや、1965年にルワンダへ渡り、一人で財政を再建し、日本人初の世界銀行の副総裁になった人物が四日市出身の服部正也氏であることなど、驚くような学びもあるという。どう話したら伝わるか、自分だけが面白いのではなく、客観的に見ても興味深い話なのか常に考える。
またくるべ古代歴史館が久留倍官衙遺跡公園に先立ち、2018年に開館、同歴史館の解説ボランティアに登録。現在は週に2回、久留倍官衙遺跡公園の解説や公園の植栽の管理などもする。
ボランティア仲間と、他県に転出した同歴史館の元学芸員の勤務地に歴史を学びに行くなど、人とのつながりを大事にしながら知識を高める。公園の植栽の管理は体力がないと続けられない。「知識と体力と気力をつけ、解説を続け、訪れる人に歴史を肌で感じてもらいたい」と語った。