勇壮に鉦と太鼓を打ち鳴らす、呼び物の「総叩き」でクライマックス、大四日市まつり

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【三つの祭りと諏訪太鼓(左側から)が一斉に「総叩き」を始め、会場は最高潮に】

 三重県四日市市の第61回大四日市まつりは8月4日、「郷土の文化財と伝統芸能の日」が三滝通りなどで開催された。おなじみの山車などが登場する午後の演技のあと、夕方から特別企画「鉦と太鼓」が始まり、三つの祭りと諏訪太鼓が競演した午後8時ごろの「総叩き」で勇壮な音が市街地に響き渡った。

 「鉦と太鼓」の特別企画は第44回以来17年ぶりといい、大四日市まつり初登場の「河原田天王祭」(河原田地区)と、「松寺の石取祭」(大矢知地区)、「東日野町大念佛」(四郷地区)、「諏訪太鼓」(中部地区・市民有志)の数百人で鉦や太鼓を一斉に打ち鳴らした。

赤い灯火が印象的な河原田天王祭の山車(手前)と松寺の石取祭の祭車の競演

 メーン会場となる三滝通りと諏訪新道の交差点は、鉦や太鼓の叩き手と観客でいっぱいに。それぞれの叩くリズムが違い、一斉に叩き始めると「くちゃぐちゃ」な音になるが、その音の塊に身をゆだねると妙な心地よさも。近くで聞くと甲高い鉦が大きく聞こえるのに、少し離れた場所では諏訪太鼓のリズムがはっきり聞こえるなど、それぞれの持ち味も発揮されたひとときになった。

 初登場の「河原田天王祭」は、疫病退散を願う行事で、江戸時代後期から伝わるという。「東日野町大念佛」は700年ほど前に行われた悪魔封じが始まりとされ、直径2メートル以上の太鼓、30 人がかりで担ぐ200キロの重さの鉦が迫力だ。「松寺の石取祭」は古くは虫送り行事で太鼓や鉦を鳴らしたが、石取りの形式を採り入れたとされる。「諏訪太鼓」は、有志が信州の御諏訪太鼓を採り入れて演奏したのが始まりとされ、地区子ども会、企業などを母体に、今では40近くの団体が活動し、四日市の郷土芸能として根付いているという。

20人がかりで担ぐ東日野町大念佛の太鼓