三重県四日市市は6月25日、市役所内の五つの課の窓口に、耳が聞こえづらい人との会話を助ける字幕表示ディスプレイを置き、活用を始めたと発表した。話す言葉を聞き取って即座に文章にして表示する。事前にデータを学習させておけば、会話の内容に合わせた画像や動画を映すこともでき、22言語に適応できる外国語への翻訳機能も備えているという。
森智広市長の定例記者会見で説明された。自治体向け生成AIの導入と同様、今年度に設置された総務部デジタル戦略課行政DX推進室が担当した。
耳が聞こえづらい人の利用が多いと見込まれる高齢福祉課、障害福祉課、保険年金課、市民課、収納推進課の5部署に専用のタブレットと字幕表示用のディスプレイを1台ずつ配置し、窓口で利用する。今年度いっぱい、使用した効果などを調査し、状況によって、さらに利用する窓口を拡大したいという。
記者会見での実演では、人の言葉を聞き取って、ほぼリアルタイムにディスプレイの画面に文章が表示され、これを見ながら、普通に近いやりとりができそうな様子だった。
今回導入したのは、株式会社アイシンの音声認識システム「YYSystem(わいわいしすてむ)」で、今年度の費用は96万円余。辞書登録機能で、その部署特有の専門用語をあらかじめ覚えさせておき、正確な文章化につなげたり、登録した単語に対応する画像などを表示することもできる。
森智広市長は「市にとって、窓口のコミュニケーションは非常に大事で、より円滑なものとなることを期待したい」と話した。