四日市市が自治体向け生成AIの活用を開始、職員はできた時間を人への対応などに

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【生成AIの画面を横に説明する森智広市長=四日市市役所】

 三重県四日市市は6月25日、自治体向け生成AIの業務での活用を始めたと発表した。文章作成や外国語の翻訳、条件や目的に沿った企画提案のアイデア出しなどに活用する。仕事の効率化でできた時間は、人への対応や現場へ行っての確認作業など、人にしかできない業務に使うという。

 森智広市長がこの日の定例記者会見で説明した。導入したのは株式会社エクサウィザーズの「exaBase(えくさべーす)生成AI for 自治体」。今年度の必要な費用は385万円という。

 生成処理の段階で、インターネットなどに市側から機密情報が漏れないようにしてあるほか、条例や市が実施した調査の結果など、市専用のデータを学習させることができる「独自領域」をもっていることが特徴で、これにより、より四日市の実情に合わせた回答の生成が期待できるという。専用の学習データ領域を持つ自治体向け生成AIの本格導入は県内初という。

 市が想定する活用としては、文章作成、添削、外国語翻訳、各種アンケートの自由記載内容の分類や集計、会議録や国、県の文書の要約、条件などに沿ったアイデア出し、手作業の処理を自動化するプログラムの作成などがあるという。

 市は2023年度からデジタル人材研修を実施しており、各部署から選出されたDX推進リーダー330人にアカウントを配布して利用の中心を担ってもらい、順調なら利用する職員をさらに増やしていくという。

 記者会見では、文章作成の様子などを実演してみせたが、ある命題の長所と短所を5例ずつ挙げよ、といった指示には数十秒から1分足らずで文章が出来上がった。企画提案などでは、あくまでも最初のアイデア出しの段階で活用し、最終的には職員が精査して仕事に取り入れるかどうかの判断をしていくという。