三重県の四日市市議会は6月14日、一般質問があり、認定こども園の受け入れ状況、水道水などへの農薬の影響、市民の意見と行政の感覚のずれ、骨粗しょう症対策、生活困窮者への食糧支援などで質疑があった。政友クラブの森川慎さん、荻須智之さん、上麻理さん、笹井絹予さん、フューチャー四日市の伊世利子さんの5人が質問に立った。
森川さんは、認定こども園の入園状況を取り上げ、1号認定(教育認定、幼稚園)で公立園に入れない状況があると指摘、希望者の状況把握ができていないのではないかと市をただした。また、入園直後に1号から2号認定(保育認定、保育所)に切り替える人がいて、切り替えを前提にした入園テクニックになっていないかなどと質問した。
市は、定員超の場合はくじ引きになり、今春は1号で申請した6人が入園待ち(入園できない状態)になったと回答した。入園の4月早々に1号から2号に切り替えたのは68人中13人だったことも回答した。ただ、切り替えは、保護者の働き方に変化があっても、子どもが引き続き同じ園に通える長所になっていると説明した。ただし、公平性は課題なので、検討するとした。
荻須さんは、ネオニコチノイド系の農薬などが使われ、排水によって河川や海に流れ、影響が出ていることを、秋田県など全国の事例で示し、前日の一般質問で取り上げられたPFASの指摘と同様に、地中にこうした化学物質が浸透して影響を及ぼす心配があると指摘した。上水道用の取水が地表に近い浅井戸になっている四日市市だが、念のために深井戸を増やす必要がないか検討すべきだとし、活性炭を用いた水の浄化装置を設けることも提案した。
市は、水道法による検査の項目や目標設定項目にネオニコチノイド系が含まれていないこと、水道法上、検査をした時に項目が適合していれば、活性炭の浄化装置を設けることは国などの補助が見込めず、市の水道料金のみでまかなうのは難しいとの考えを示した。深井戸に関しても、鉄やマンガンが検出される可能性があり、現時点では検討はしていないと回答した。
上さんは、中央通り再編後の、「ニワミチ」など新しい緑地帯の維持費用を尋ねた。市は緑地の剪定、グリーンインフラのコストなど年約4600万円が見込まれ、再編をしない場合の年1100万円からは約3500万円増えると回答した。ただ、このほかの費用増だけでなく、再編事業による経済波及効果などを考えれば、最終的には費用対効果は大きいと説明した。
上さんは、予算全体に占める民生費(福祉などに使われる)の割合が、人口が同規模の明石市、久留米市、春日井市に比べて四日市市は低いとし、これをひとつの例として、市民のニーズと市の施策の間に感覚のずれがないかとただした。
市側は、アンケートなどで市民の意見や意識は定期的に集め、施策に反映する努力をしていると説明したが、上さんは新図書館計画が白紙に戻った中心市街地の再編で、駐車場が不足している問題は解決できていないまま進んできたこと、笹川地区の小学校解体などの問題がうまく進んでいないことなどを挙げ、行政の関与が住民の意識に寄り添っていないのではないかと批判した。
笹井さんは、骨粗しょう症の対策について質問。骨折しやすく、介護状態になる可能性もあり、健診受診など、もっと啓発に取り組むべきだとした。AIの研究とともに各地で脚光を浴びている「データセンター」の誘致を検討してはどうかとも提案した。
伊世さんは、フードパントリーや子ども食堂などに取り組む団体のネットワーク化に、市が音頭をとってほしいと提案した。市は意見交換の場を設けるなどしており、今年度も続けるが、団体間の活動は、将来は団体が自主的にやってほしいと回答した。伊世さんは新人教師への支援についても質問。廣瀬琢也教育長が、校長経験者が助言をするサポート体制があることなど、取り組みの状況を回答した。