近鉄四日市駅東の旧スターアイランド跡地の新ビルに新図書館を設置する四日市市の構想について、市は費用面などで実現が困難と判断した。5月24日の議員説明会で市議会に伝える。全国的な建設費の高騰などで、事業費は400億円近くになり、当初の見込みを大きく上回るという。長く議論されてきた新図書館構想だが、計画はほぼ白紙化される事態になる。
市議会関係者の間では、JR四日市駅前に設置する新大学に図書館が必要になるため、市はこれを代替にするのではとの見方も出ている。ただ、市立図書館と大学図書館の性格の違い、近鉄四日市駅前という利便性のある場所に新図書館を設置し、にぎわいづくりに役立てるなどとしてきたこれまでの市の構想との整合性などから、相当な議論になることは必至といえそうだ。
旧スターアイランド跡地の新ビルについては、地上30階を超え、県内1、2の高さを誇る複合商業ビルになるとの観測も語られてきた。複合ビルのうち3~8階が新図書館をなる予定だった。市が70年の定期借地権契約で借り、ビルの固定資産税などとの相殺で運用は市の負担額としても可能と説明してきたが、整備費は当初見込みの倍近くになるなど、近鉄グループ側も、このままの形での新ビル整備には踏み出せない状況になっていたとみられる。
新図書館の場所をめぐっては、2005年ごろから議論が続き、市街地の活性化との相乗効果を狙って、JR四日市駅前、市役所東側広場、近鉄四日市駅東の3カ所から最終的に選択していた。最近は新ビル内での設置を前提に、市民参加の形で各階のフロア利用についての意見募集なども始まっていたが、一方で、議会からは経費についての説明がないと、批判的な意見も出ていた。近鉄四日市駅前では経費がかかりすぎるのではないかとの指摘は地元経済界からも語られていたという。