三重県の四日市市議会は5月7日、地方自治体向けソフトウエアなどを開発している福岡市のGcomホールディングス株式会社と連携協定を結び、市議会と市民を結ぶ新しいソフト「まちだん」の実証実験を始めると発表した。宮崎市議会では先行して利用され、市民から議会への意見などアクセス数も増えているという。四日市でも実験で効果が確認できれば、来年度から本格的な運用へと移行したいという。
この日、市議会の本会議場で「四日市市議会DXの推進にかかる実証事業についての連携協定」の締結式があり、市議会の樋口龍馬議長と同社の平石大助社長が協定書に署名した。実験について検討してきた市議会広報広聴委員会の委員らも同席した。
「まちだん」は「町の談話」からのネーミングといい、一部の市民を除いて関係が薄いと言われる議会と市民の間を近く、親しみやすいものにしようと考えられたという。議会の一般質問などの活動を動画配信で見られ、コメントで自分の意見を書き込むこともできるほか、議員の得意分野などを紹介するページをつくって、市民からの相談や意見も受けられる。議会側から市民にアンケート調査をお願いすることも可能だという。
宮崎市議会では2022年から市民に公開されたといい、議会活動の閲覧数や市民からの意見などが期待以上に高くなっているという。地域の民主主義向上に寄与する取り組みを表彰する「マニュフェスト大賞」で2023年に同大賞躍進賞を受賞し、宮崎市や同社には全国から「まちだん」への問い合わせが届いているという。四日市市議会は宮崎市に次ぐ実験の開始になるという。
協定書に署名した樋口議長は「投票率の低下や政治への関心が高まらないなか、どのように地方議会の活動に興味を持ってもらうか。私たちの活動の成果を伝え、市民の声をしっかり受け取れる環境をつくっていきたい」と期待を述べ、平石社長は「市民との交流が深まり、地方政治の活性化につながるきっかけになるよう努めたい」などと話した。
四日市市議会は、6月議会の半ばごろには市民が機能を使えるようにして実験を開始したいと考えており、準備が整い次第、登録や利用の方法を発表するという。