今春、四日市大学環境情報学部を卒業した山内球道さん(22)は、四日市市の文化芸術・国際交流の振興やまちづくりで幅広い事業を展開する公益財団法人四日市市文化まちづくり財団に就職し、市文化会館、通称「よんぶん」へ配属された。「裏方としてしっかり四日市の文化を支えたい」と意気込んでいる。
4年前、コロナ禍で入学式もなく始まった大学時代は、実家のある愛知県あま市から通学。照明ゼミに所属し専門的に学ぶ傍ら、バドミントン部で汗を流し、地元ではピザ配達のアルバイトを4年間続けた。
転機は3年生の初夏。よんぶんのインターンに応募し、世界が広がった。市民オペラや演劇公演の雑務に始まり、音楽フェスのボランティアにも参加し、イベントの裏方にやりがいを見出した。4年生では、市内の小中学校に良質な音楽を届ける「学び舎音楽会」の全公演に従事し、照明を担当したことも。大人には問題ないライトの向きが、小学生相手にはまぶしく感じられるなど現場でわかったことも多い。「よんぶんで働きたい」という思いが募った。
就職活動では、イベント会社に応募し8月に内定を取ったが、よんぶんをあきらめられず辞退。新卒募集の有無が不明だった同財団の採用情報が出るのを祈るように待った。10月、職員採用試験要項が発表され12月に受験し、見事合格した。
同会館アートディレクターの油田晃さんは、「目の前の催事に追われると客観的な視点を見失いがち。高い視点を持って四日市の文化発展を志してもらいたい」と激励した。市内に転居を済ませた山内さんは、四日市市民として希望を胸に、社会人第一歩を踏み出している。