三重県四日市市は3月25日、アプリなどデジタル技術を使って「いじめ」に取り組んでいるスタンドバイ株式会社(本社・東京都中央区)と連携協定を結んだ。匿名性を満たした操作で子どもたちの相談を受けるほか、子どもの状態の緊急度をアラートで可視化し、速やかな対応につなげ、いじめや人権について子どもたちが対話し、解決策を探る教材づくりも進めるという。
協定締結式があり、スタンドバイ株式会社代表取締役の谷山大三郎さん、森智広市長、廣瀬琢也教育長らが出席し、谷山さんと森市長が協定に署名した。谷山さんは、「SNS相談アプリを全国32自治体約1000校に提供してきたが、これを専門家の協力のもとで研究を含めた連携をさせていただく。四日市の課題を見つけ、解決方法を見つけられる取り組みをめざしたい」などと話した。
森市長は「いじめをどう発見し、対処していくか、私たちに課せられている。今回の連携によって、全国の先頭に立つ自治体にならないといけないと思っている」と述べた。
四日市市では、すでに2022年度から同社のSNS相談アプリ「STANDBY」を導入し、初年度1543件、今年度は2月末時点で2000件を超す相談が届いているという。この相談システムを、アプリを導入している他自治体や大学の専門家らとのネットワークに育て、専門家の助言や、各地の相談事例などを参考にしながら各自治体での質の高い対策を目指すという。
「いじめリスクマネジメント」プロジェクトでは、児童生徒が使用するタブレット端末を用いて行ういじめ調査で、リスクがある場合に緊急性を示す表示が出るなど、対応の円滑化を図るという。
「Changers(チェンジャーズ)」プロジェクトは、授業づくりの専門家とクリエイターによる無償教材を発信する。いじめや人権をテーマに、例えば、「いじめ」と「いじり」について子どもたちに考えてもらい、「いじり」のつもりが、いつも間にか「いじめ」にもなることを学び取ってもらうという。