三重県の四日市市議会は2月21日、本会議を再開し、森智広市長の2024年度への所信表明と当初予算案について、市議5人が代表質問をした。施策全般にわたって質疑があったが、中央通り再編、新図書館、新大学構想、温水プール整備など、大きな事業費を伴う施策も多く、議会への事業費の提示のタイミングなどについては注文もあった。
質問に立ったのは荒木美幸さん(公明党)、川村幸康さん(政友クラブ)、小林博次さん(市民目線の会)、村山繁生さん(フューチャー四日市)、平野貴之さん(新風創志会)。会派を代表しての質問で、森市長が答弁した。
川村さんは「議会の役割は市民のために議論を尽くすこと」と前置きし、「市当局側からの数字の提示があまりになさすぎる」と苦言を呈した。
近鉄四日市駅東の旧スターアイランド跡地に新図書館が入る新ビルの構想があるものの、総事業費が示されないまま、中央通り再編の工事は始まり、計画推進の話だけが進んでいるとして、「市議会が新図書館の是非を判断するうえで、事業費の提示は欠かせない」と反発の声が出ていることが背景にある。
川村さんは、2025年度から始める予定だった四日市ドーム改修の見積もりが約62億円と非常に高く、2024年度に検討をやり直すことになった例を挙げ、造る時は突き進むものの、「その後の利用率や管理費などを考えて判断すべきものだった」との声もあるとした。さらに、昌栄町の温水プール改修費も約26億円にふくらみ、競技用プールを必要とする水泳協会との間で意思疎通がぎくしゃくしたことも挙げ、「朝令暮改でもいい。事業は、突き進むだけでなく、費用や時代の価値観によって判断が変わってもいいはず」などと話した。
森市長は、新図書館については、「私が市議になる前から新しい図書館をという要望があって、民間の意見や議会の意見を聞きながら、その都度、方針を決めて、長い時間をかけてここまでやってきた経緯がある。新ビルをつくる近鉄グループが現在、ビル全体の費用を算出中で、それが出ないと、市の事業費もすぐには出せないが、はっきりすれば、もちろん議会にも提示して判断をいただくつもりだ」などと話した。昌栄町のプールについては、年間3万人の利用がある実情から、水泳協会の求める競技用プールと今回の改修とは別次元のものだとする考えを述べた。
荒木さんは、市が2024年度に「終活」についてあらたに支援を始め、一人暮らしで身寄りのない高齢者を対象にする終活全般の悩みに応じる相談窓口を開設することに一定の理解を示した一方、「今から考えなければならない問題で、手遅れになってはいけない」と意見を述べた。
小林さんは、中央通り再編に関して、「港、JR四日市駅周辺、新図書館、新大学など、事業にかかる総額をしっかり示して実施するかどうかを考えるべきだ」と述べた。また、過去に四日市でも被害があった地震を例に挙げ、液状化現象による道路の被害が予想されるとして、対策への考えをただした、
村山さんは、保育料の無償化や保育士の定着のための家賃補助など、市独自の費用で市の目玉事業を提案できないかなどと迫った。花火大会復活の試験をすることについては、「尺玉も上げてパワーアップしてほしい。そのために有料席を設けることを考えてもいいのでは」などと述べた。
平野さんは「人口を維持するためにも積極的な企業誘致が必要」と述べた。森市長は「これという企業誘致の区画がないのが現実だが、市内ではオフィスビルの需要があるようで、どちらも仲介業者との情報交換をするなど検討する」などと答えた。