進行すると視力を失う難病、網膜色素変性症を患いながらも、囲碁や作曲も楽しみ、文章サークルの代表を務める四日市市川北の冨田武彦さん(73)は、白杖を相棒に毎日出かけ、人とのふれあいを楽しんでいる。
35歳の時、暗いところで物が見えにくくなったり、視野が狭くなる網膜色素変性症と診断された。62歳の時、病気が原因で勤務中に交通事故を起こし、けがはなかったが、車は大破。退職し運転も止めた。
四日市の自宅に戻ると、自治会長に推薦され、2年務めた後、社会福祉協議会の役員や民生委員も引き受けた。単身赴任生活で地元に友人はいなかったが、地域の役員を務め、交流を楽しんだ。
現役時代は技術職で、違うことを始めようと絵手紙教室に通うが、絵は得意ではなく、隣で開かれていた文章教室に移った。創作の面白さを感じ、67歳の時、教室を引き継ぎ朗読文学サークル「言の葉」の代表を引き継いだ。視野が狭くなっているが、パソコン画面は見ることができ、サークルのホームページを作成、同市の生涯学習情報誌でも記事を書く。 心身の健康のため「1日10人と会話し、100文字書いて、1000字読み、1万歩歩く」ことが目標。毎日外出し、日記を書き、本やウエブ記事などを読む。今の視野はトイレットペーパーの芯の穴の直径ほどだが、地域のカフェサロンでタブレットを使い囲碁の対戦を楽しむ。スマホアプリで作曲し、YouTubeで公開するなど、新しいことに挑戦し続ける。「まずはやってみる。嫌ならやめる。無理はしない。一歩踏み出すことが大事」と、笑顔で語った。