熟練と新しさで事業改革 アルケミーステッチ合同会社

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【縫製事業の生産管理システムを確認する松尾さん(右)とマネジャーの立原さん=四日市市小杉町】

 アルケミーステッチ合同会社(松尾早苗代表社員、四日市市小杉町)は工業用の縫製、IT事業でのDX(デジタルトランスフォーメーション)促進という熟練と最新技術の事業を手掛ける。一見かけ離れた2本の柱は、同社の業務と取引先の業務に変革を与えている。

 2021年9月にIT業界で働いていた松尾さんが起業する際、父親の経営していた「松尾ミシン」を事業継承した。工業用の縫製では、機械器具にフィットするフィルターの縫製、機械カバーなどを、専用ミシンを使って熟練の従業員が仕上げていく職人技は、市内や近隣市町の製造業と取引がある。数センチから、4、5メートルあるものなど大小の製造を扱い、受注は1点から、また完全オリジナルのものであり、大口注文ではできないことに対応できるのも強みだ。

 ただ、生産現場では受注管理なども手書きが主流だったこともあり、中心だった管理方法などをIT技術の導入により、大幅に刷新。リアルタイムで生産の進捗状況などをモニターで確認できるシステムで、生産効率が大幅に改善。自社の製造現場にDXを導入しモデルケースにもなったことで、取引先にも導入例としてプレゼンテーションができやすくなったという。設計、デザイン、運用を一括してできるオールインワン開発の利点を生かし、取引先へ提案。DXを進めることで、現場での働き方や作業効率を改善することを進めている。

コーヒー販売事業も展開

 ベトナム出身のエンジニアとの縁から、昨年から新たに展開したのがコーヒー販売事業だ。ダクノン地方で丁寧に手摘みされたコーヒーは強い風味とコクが特徴。「THE TECH COFFEE」として販売し、ホームページ(https://coffee.alchemy-stitch.com/)やAmazonで販売していて「今後はオリジナル商品も手掛けていきたい」と松尾さんは話す。

 社名にある「アルケミー」は「錬金術」を、「ステッチ」は「縫い目」を意味する。新しい技術と熟練の技、今後もその2つが混じりあうことを展開していく。