中小企業での取り組み方のヒントや国の助成制度も紹介、四日市でカーボンニュートラルへ向けた研究会

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【企業からの参加も多かったカーボンニュートラルに向けた研究会=四日市市鵜の森1丁目】

 「四日市CNXプロジェクト研究会」が1月31日、三重県四日市市のユマニテクプラザで開かれた。温室効果ガスをゼロにするカーボンニュートラルに向け、中小企業での取り組み方のヒントや国の助成制度などが紹介された。

 三重大学みえの未来図共創機構地域共創展開センターの主催。センターは、三重大学が地域と連携して産学官のプラットフォームを組織し、地域の課題の解決や手助けを通して地域振興に寄与しようと設けられた。現在、県内で五つのプロジェクトを手がけている。CNXは「カーボンニュートラル・トランスフォーメーション」の略。

 この日は「脱炭素社会実現に向けた国の政策、委託・助成事業紹介」の副題を設け、国や四日市市、三重大から4人の講師が講演した。会場の3階研修室に集まった50数人のほか、オンラインで30数人が参加した。

 経済産業省中部経済産業局カーボンニュートラル推進室長補佐の田中理央さんは、国内の自治体や企業が2030年、2050年への目標を立てており、中小企業も情報収集から始めてほしいとし、取り組みには支援施策もあり、補助金のほか、専門家が寄り添って診断を進められる制度もあると紹介した。

 環境省中部地方環境事務所地域脱炭素創生室長の新原修一郎さんは、自治体のゼロカーボン宣言が全国1788のうち1000を超えて出ていること、モデル事業に補助金が出る脱炭素先行地域の選定に全国の36県が選ばれているが、残念ながら三重県はまだゼロという状況も紹介した。中小企業の取り組み方として、まず、温暖化ガスを自社がどれくらい排出しているかを「見える化」し、それに応じた削減対策の3本柱「①省エネ②燃料転換③再エネ電気の調達」などを説明した。環境省にも企業を支援する助成制度が整っており、脱炭素経営に協力していくとした。

国の政策や助成制度なども紹介された講演会

 四日市市商工農水部工業振興課長の釜瀬俊之さんは、県や四日市コンビナートの企業などと協力して取り組んでいるカーボンニュートラルへ向けた検討・推進について紹介。中部圏との連携を含めて水素・アンモニア燃料での展開を考えていることや、市と企業の連携による食品トレーの回収や再利用などの取り組みについても紹介した。

 三重大学大学院地域イノベーション学研究科教授の丸山直樹さんは、企業などで時間を問わずにカーボンニュートラルに向けての勉強ができるオンデマンド教育プログラムについて紹介した。地球温暖化の概論やカーボンニュートラル対策などについて、三重大学の専門家らのビデオ講義などが見られるようになっており、企業の取り組みを支援するという。

 講演会のあと、参加者は講師らとの個別の相談などで情報交換をし、カーボンニュートラルの知識を深めていた。