全国初の地域密着型バス路線として注目された「生活バスよっかいち」の20周年を記念する講演会が1月20日、四日市市文化会館であった。運営するNPO法人生活バス四日市の西脇良孝理事長と、立ち上げから協力した名古屋大学大学院の加藤博和教授が、この間の歩みや、活動の意味を話し、150人近くが耳を傾けた。
NPO法人生活バス四日市の主催で、四日市市が後援した。2003年4月に運行を開始し、昨年、20年の節目を迎えたことから、この活動の果たした意味などを知ってもらおうと企画した。
西脇良孝さんは、富士電機を退職後、四日市市羽津いかるが町の自治会長などを務めたが、三重交通バスの垂坂線(近鉄四日市駅~垂坂公園)が2002年5月末に廃止になり、「買い物や病院通いが不便」との声を聞き、沿線の企業や市の協力を得て、地域住民の足としてのバス路線をスタートさせた。
利用者は、ピーク時の1日約120人に比べると、今は40~50人と落ち着いているといい、あらたな利用者の開拓と、バスそのものに親しんでもらうため、最近は沿線散策ツアーや買い物ツアーも企画しているという。利用者増を図り、運行に協力してくれる企業探しを続けているという。
西脇さんによると、運行は、おおまかに、利用者による1回100円の運賃が全体の20%、沿線企業の協賛金が30%、四日市市からの補助が50%の割合で支えているという。
名古屋大学大学院環境学研究科附属持続的共発展教育研究センター教授の加藤博和さんは、生活バスよっかいちの運行を始めたころ、「前例がない」「一地域のことに補助は出せない」といった態度だった国が、最近は、地域交通に積極的になっていることや、各地に、四日市に触発された地域のバス路線ができていることを紹介し、「生活バスよっかいちがなかったら、今の状況はない。まさに国の宝のような存在」と意義を語った。
加藤さんは、公共交通を使うことで、バス停まで歩くなど健康にもよい生活ができ、車に乗り続けて体力が衰えるような老後を防ぐことができるとも語り、四日市市のほかの地域でも、こうした地域のバスが増えてほしいと話した。