三重県四日市市議会の人権施策等調査特別委員会は1月18日開き、他都市の人権に関する条例制定の状況について市側から説明を受け、これまでの委員会でのおもな意見を整理した。そのうえで、四日市市の人権に関する現行条例を新条例にするか、改定するか、それとも、このままでよいのか、今後の進め方について意見を交わした。
四日市市には、1997年に施行された「四日市市部落差別をはじめとするあらゆる差別を無くすことを目指す条例」がある。これまでの委員会の議論は、三重県が2022年に施行した「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」などを参考に、差別をなくすために市はどうすべきかを話し合ってきた。部落差別や人権の問題に関する専門家も招いて意見を聞くなどし、専門家からは新条例の必要性も指摘されていた。
この日の委員会では、「新条例、改定はともかく、条例のアップデートはあるべきだ」「みんなが意識して差別がなくなるよう努力することが大切で、四日市はこの問題についてよくやっているという方向に向かうような形にしたい」とする意見があった一方、「県全体を対象にする県の条例があり、あらためて条例を制定することは考えていない。あっても改定ではないか」などの意見もあった。県条例と四日市市の現行条例を比較し、足りないところがあるのかどうかを検証する必要もあるとして、いったん、正副委員長がこの議論を引き取った。
委員会は今後、1月25日と2月22日の開催を予定しており、市の条例をどうするかを含め、委員会の議論の報告書をまとめていく方針だ。
この日、市側から説明された他都市の条例制定状況によると、2023年12月現在、都道府県レベルでは全国19都府県が制定しており、三重県は全部改正、佐賀県では旧条例を廃止して新条例にしている。愛知県、東京都、沖縄県、山梨県も新条例になっている。三重県と佐賀県は、人権侵害行為について勧告や公表などの措置も盛り込んでおり、この点については、「紛争の最終的な判断は司法になるはずで、行政が公表などに踏み込むのはどうか」との意見もあった。
意見交換のなかでは、条例とともに、役割を担える人が就任する「差別解消調整委員会」や「人権施策審議会」のような仕組みが位置付けられることが欠かせないとする意見もあった。