JR四日市駅前に工学部系学部・研究科の大学新設を、北勢地域の11商工会組織が三重大学に要望書提出

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【三重大学の伊藤正明学長(右)に要望書を手渡す四日市商工会議所の小川謙会頭=津市の三重大学】

 三重県北勢地域の11の商工会組織が1月12日、地域の産業を支え、人材育成を担う工学部系学部・研究科の大学をJR四日市駅前に新設するよう、三重大学に要望した。同日夕、11組織を代表して四日市商工会議所の小川謙会頭が三重大学を訪ね、伊藤正明学長に要望書を手渡した。

JR四日市駅前の大学設置については、四日市市が基本構想を間もなく完成させる運びだが、大学誘致の背景には、産業が集積している北勢地域を支える理工系の大学がほしいという地域経済界の願いがある。四日市商工会議所によると、三重大学に直接、このような要望書を提出したのは初めてといい、これを機に着実な議論が進むことに期待を込めている。

 四日市商工会議所からは小川会頭のほか山下二三夫専務理事、秋田和伸商工振興部長、水谷貴宣同課長、三重大からは伊藤学長のほか吉岡基理事、木下孝洋理事も出席した。小川会頭が要望書を伊藤学長に手渡したあと、商工会議所側が大学側へ内容を説明した。

要望書の内容を説明する四日市商工会議所側(左)と三重大学側の出席者

 要望書は「将来に向けた三重県北勢地域の産業の持続的発展という観点から、四日市市が大学誘致を目指しているJR四日市駅前に、以下の機能・役割を担う三重大学工学部系学部・研究科の設置を要望します」とし、①製造業が集積する北勢地域の特性を踏まえ、地元産業の新たな取り組みを積極的に後押しすること②社会が大きな変革を続ける中、DX(デジタル変革)やGX(エネルギー転換による変革)等の専門知識・技術を持つ人材育成を行うこと③地域や地域企業が抱える課題を解決し、イノベーションを創出すること④スタートアップを志向する人材育成や大学発ベンチャーの起業等、新産業創出の原動力となること⑤急激な技術革新の進展などに地域の企業が対応できるよう、必要なリカレント教育を提供すること⑥多くの若者を地域内外から呼び込み、地域への定着に貢献すること、の6項目を挙げている。

 要望に至った経緯や背景もまとめており、北勢地域の製造品出荷額が約7.7兆円で県全体の約7割を占めるなど県経済を牽引しているが、労働力不足が顕著になるなか、技術開発や人材育成の重要度が増し、産学官連携の活発化が必要で、工学部を有する三重大学との連携強化が必要とした。

 2003年以降、「四日市フロント」「地域拠点サテライト 北勢サテライト」など実際の連携や共同研究にも着手しており、将来、大学の近くにある企業で学生が現場に関わりながら研究することが期待できるとしている。

 要望書を提出した北勢地域の11商工会組織は、桑名商工会議所、四日市商工会議所、鈴鹿商工会議所、亀山商工会議所の4商工会議所と、桑名三川商工会、木曽岬町商工会、いなべ市商工会、東員町商工会、菰野町商工会、楠町商工会、朝明商工会の7商工会。