登記簿を見ても所有者が分からない土地が増えていることを受け、2024年4月から相続を原因として不動産の名義人を書き換える「相続登記」が義務化される。
相続登記とは、土地や建物など不動産の所有者が亡くなった場合、所有権を引き継いだ人(相続人)の名義に変更する手続きのこと。これまで相続登記は相続人の任意だったが、11年の東日本大震災の際、所有者不明の土地が復興事業の妨げになったことをきっかけに見直されることになった。
長年にわたって名義人が変更されず所有者不明になり放置される空き家や土地は、全国各地で増えている。民間の有識者らでつくる「所有者不明土地問題研究会」がまとめた報告書によると、所有者不明土地は16年時点で、全国で約410万ヘクタールと、九州本島(約367万ヘクタール)の面積を上回る規模になっている。
問題の解消を目指し、21年に民法や不動産登記法の一部が改正され、24年4月1日から、相続登記の申請義務化が施行されることになった。
施行後は、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならず、正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となることもある。施行前に相続した不動産も相続登記が未了の場合は義務化の対象となり、27年3月末までに申請しなければならない。
相続登記の申請手続は、亡くなった人の所有不動産を誰が相続するのかという内容の申請書を作成し、法務局に提出するというもの。民法に基づく法定相続の場合は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本の他、相続人全員の戸籍謄本などが必要となる。
遺産分割協議により相続した場合は更に遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書なども必要になるが、中には書類を揃えるのに数か月から数年を要するケースもあるという。
法務省のホームページ(https://www.moj.go.jp)では、新制度のポイントや申請書の様式などが紹介されている。