三重県四日市市の小中学校に1校10万円ずつ、個人の立場で計590万円を寄付した同市の伊藤製作所会長、伊藤澄夫さん(81)に紺綬褒章が授与され、12月27日、市役所で森智広市長から伝達された。昨年9月の寄付のあと、小学校にはディズニーの物語など、中学校には文学賞受賞作などの購入に充てられたという。
伊藤さんの紺綬褒章は2度目といい、「飾板」が授与された。同種の褒章を授与された人に贈られ、褒章の帯に付けるものという。森市長は「ご寄付をいただき、小中学校に約3200冊の本をあらたに入れることができました」とお礼を述べた。伊藤さんは、「大谷翔平選手の『野球しようぜ』のグローブが全国で話題だが、規模は違うけれど、私は若い世代に向けての『本、読もうぜ』のメッセージだと思っています」と気持ちを表現した。
伊藤さんは「私は学校を出てから読書の大切さを感じたが、今の若い人の活字離れはよくない。ぜひ、本を読んでほしい」と話していた。今も業界紙、一般紙、趣味の本まで、活字に触れるようにしているという。日本のものづくりの知識も広く、これまで大学などで経験を伝えてきたことから、中京大学特別栄誉客員教授にもなっている。