四日市市長から回答、公災害市民ネットのPFAS公開質問状、回答は批判

2018

【公開質問状の回答とともに四日市公災害市民ネットが発表した回答批判の見解文】

 PFAS(有機フッ素化合物の総称)による水の汚染を調べている市民団体の「四日市公災害市民ネット」は12月25日、森智広市長あてに提出していた公開質問状の回答が届いたとし、内容を発表した。回答のほとんどで、「国が科学的根拠に基づいた検討を進めている」などとしており、回答を批判する見解も発表した。

 公開質問状は12月7日に市長あてに提出され、回答は同15日に届いたという。7項目の質問に対する回答の大半で、「国がPFASの有害性や科学的根拠に基づく検討を進めており、今後とも国の動向を注視していきます」などの表現が繰り返されているとして、「市民の健康を守るための責任を自覚し、自立的にPFAS汚染問題に取り組もうとする姿勢が見られない」などと批判している。質問と回答の概要は以下の通り。

 Q1)キオクシアの排水が汚染を引き起こしていることが濃厚で、市は稼働以降30年間の排水のPFAS関連の水質、水量のデータを公表するよう求めるべきと考えるが、市長の見解は。浄化装置を設置するよう求める考えは。

 A1)キオクシア四日市工場は水質汚濁防止法の規制が適用される工場であり、工場からの排水量や水質については確認している。PFASは現在、水質汚濁防止法に基づく排水基準に設定されていないため、法に基づく規制はできない状況で、現状では事業者にデータの公表や浄化装置の設置を求めることは困難。国の専門家会議で環境モニタリングのあり方など、科学的根拠に基づく今後の対応が議論されており、国の動向を注視する。

 Q2)市内の各河川での汚染源の特定を目指したPFAS濃度の系統的調査が必要と考えるが見解は。

 A2)これまで海蔵川の環境基準点である海蔵橋で水質調査をしてきたが、2024年度からは海蔵川の1地点と三滝川の1地点を追加して把握に努める。なお、現在、国の専門家会議において、科学的根拠に基づく今後の対応が議論されているので、国の動向を注視する。

 Q3)市内の多くの井戸(水道水とは別)、海域、下水処理場の排水の水質調査を実施する考えは。

 A3)現在、国の専門家会議において、科学的根拠に基づく今後の対応が議論されているので、国の動向を注視する。

 Q4)水道水の取水井の調査は必要ないと7月に回答されたが、市民の命と健康を軽視するとは考えないか。今よりも高い測定精度でPFOA、PFOSだけでなくPFHxSなど対象物質を拡大すべきと考えるが見解を。

 A4)本市は、国の定めた検査方法で検査をし、給水栓及び水源地において暫定目標値以下であることを確認している。国は専門家会議を設置し、PFASの規制対象物質や規制手法も含めて科学的根拠に基づく検討を進めている。引き続き、世界や国の動向を注視するとともに、水道水の安全性を確認してまいりたい。

 Q5)市民などを対象に、血中濃度の抽出調査をする考えはあるか。

 A5)国はPFASの有害性や評価に関する専門家会議を設置し、規制対象物質や規制手法を含めて科学的根拠に基づく検討を進めている。引き続き、世界や国の動向を注視するとともに、必要に応じて対応を検討する。なお、本市ではPFOS、PFOAについて、国の定めた検査方法で検査を行い、給水栓、水源地において、暫定目標値以下であることを確認している。

 Q6)過去の泡消火剤の使用などを含め、PFASの管理強化に関する市の見解を。

 A6)市消防本部で保有しているライトニングARは、現行の化審法において規制の対象になっていない。コンビナート事業所では泡消火剤の保管処分方法などを適正に行うよう周知している。今後はPFOSなど含有の泡消火剤の有無など聞き取りを行う。なお、国はPFASの有害性の評価に関する専門家会議を設置し、規制対象物質や規制手法も含めて科学的根拠に基づく検討を進めている。引き続き、世界や国の動向を注視するとともに、必要に応じて対応を検討する。

 Q7)PFAS問題への取り組みを進めるため、部局横断的な特別チームを編成することを提案するが、見解を。

 A7)国は、PFASの有害性の評価に関する専門家会議を設置しており、規制対象物質や規制手法も含めて科学的根拠に基づく検討を進めている。このような状況の中で、本市では環境部、上下水道局、消防本部などが適宜情報共有を図っており、今後とも国の動向を注視する。