差別に対する新しい条例の必要性指摘、四日市市の人権施策等調査特別委で専門家が意見

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【特別委員会では部落差別の現状や課題について専門家から意見を聞いた=四日市市議会】

 三重県の四日市市議会は11月24日、人権施策等調査特別委員会を開き、同和対策について、反差別人権研究所みえ(ヒューリアみえ)の松村元樹事務局長から専門家としての意見を聞いた。松村さんは、差別をなくすためには、差別の被害を受けている少数(マイノリティー)ではなく、多数(マジョリティー)の側の学習や意識の改革が必要で、差別とは何か、解消への体制などをしっかり定めた形での新しい条例が必要だと話した。

 松村さんは、「部落差別の現状と課題」と題して講演し、結婚や不動産購入などの現場でなお続く差別について解説した。労働者の権利が憲法や法律などに明文化された「基準」によって守られているのに対し、人権や差別問題になると「心の問題(思いやりや、やさしさ論)」に置き換えられてしまっていることが、差別問題の解決をあいまいにしているとも指摘した。

 さらに、男性優位の今の社会で、夜の電車に乗ることでさえ、乗り降りに困難を感じる障害者や、性的被害の心配がある女性は不便を強いられ、差別になっていること、そのため、マジョリティー側の男性側が、そこを意識し、自らの考えを改めていくことが必要だと、差別される側と差別する側との関係を分かりやすく説明した。

 松村さんは、差別とは何かをはっきりと定義し、そうした問題を解消するための体制や施策に言及した新しい条例の制定が必要だと話し、四日市市議会でのこれからの議論に期待を寄せた。新条約には、ほかにも、有効な教育・啓発の確立、相談体制の拡充と救済策の確立、当事者への実態調査、差別解消施策の点検、評価、提言などが有効に機能する審議会の設置、差別の認定への方向性や提言を打ち出す有識者等で構成される専門委員会の設置、差別事象発生時の対応方針などが備わる中身になることが必要だと提示した。

 三重県では、県が従来の条例を全部改正し、「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」を昨年(一部は今年)に公布、施行しており、そのひとつの形になっている。この日の特別委員会は、全員協議会室で開き、当別委の委員ではない他の市議らも参加できる形で開催した。