「フィンランドの豊かで幸せな生き方を体験するツアー報告会」が10月29日、四日市市札場町の「ロージーティーハウスよっかいち」で開かれた。一般的に高福祉で豊かな印象がある北欧だが、なかでもフィンランド人の生き方に魅了された女性2人が講師になり、この夏の旅行の様子を映像とともに紹介した。13人が参加し、報告会のあとはランチを共にして、自分らしい生き方について語り合う交流も楽しんだ。
報告会を開いたのは、岐阜県高山市在住でエラマプロジェクト代表の石原侑美さん(36)と、三重県四日市市在住の児玉麻里子さん(51)。「エラマ」はフィンランドで「人生」「生き方」などを意味する言葉という。石原さんはフィンランド生涯教育研究家として大学や企業で講演をしたり、飛騨フィンランド大使などを務め、地元の図書館の利用法をフィンランドふうにしたりしている。
児玉さんは大手住宅設備建材メーカーでインテリアコーディネーターなどを務め、家具などの研究のため2019年にフィンランドを視察旅行して、フィンランド人の生き方にあこがれ、石原さんに出会ったという。
会場のティーハウスは家具など北欧風な雰囲気を備えており、店内の壁に石原さんらがフィンランドの旅行の時の風景写真や動画などを投影し、話を進めた。フィンランドは人口が約550万人で兵庫県とほぼ同じで、国土の7割が森林で湖なども多く、日本と同じように自然が豊かだという。
水道が日本と同じ軟水で、サウナの文化があるように、日本人の「裸の付き合い」の感覚が理解しあえる。生活では基本的には静寂を好み、たき火を愛する様子や、「SISU」という日本でいう「根性」「大和魂」のような精神性があることも紹介され、日本人との共通点も少なくないという。
児玉さんは夏の旅の参加者の視点で報告したが、フィンランド人が8時間労働のあとの家庭や自分の時間「マイタイム」のバランスを大切にしていることに感激したという。日本の母親は家族のために自分の時間を削ってしまいがちだが、子どもたちは、むしろ、親がマイタイムをどう使っているかを見て育ち、自分を大切にすることも覚えていくそうだ。
学費がゼロで、年齢を重ねても勉強を欠かさず、何度も大学に通うことが普通の状態。自分が何をすれば幸せなのかを意識しているように見えるという。フィンランドの家具や電化製品のデザインが使いやすいのも、そんな生き方が反映しているのだと感じたという。
エラマプロジェクトは、オンラインなども活用し、フィンランドに関するプログラムを開設しており、「elama.be」で検索すると、今後の予定を含めて情報が見られる。