空き家問題で協力、四日市市と名古屋のクラッソーネ社、活用・解体の進め方や費用など情報を提供

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【空き家対策に協力して取り組むことになった森智広市長(左)と川口哲平CEO=四日市市諏訪町】

 全国的に広がる空き家問題の背景に、費用を含め、どう活用・解体を進めたらいいか分からない人も多い事情があるため、三重県四日市市は10月23日、この分野の専門の事業者と協定を結んだ。業者のもつ知識やサービスを利用させてもらい、空き家の活用や、解体整理をして新たな経済的な価値を生み出すきっかけをつくっていきたいという。

 協定は「空き家の除却促進に係る連携協定」と呼び、名古屋市中村区に本社を置き、全国展開する株式会社クラッソーネと結んだ。この日、四日市市役所で行われた締結式には、森智広市長や、クラッソーネの代表取締役CEO川口哲平さんら両者の関係者が出席し、協定書に署名をした。

協定にに署名する森智広市長(左)と川口哲平CEO

 森市長は「空き家は全国で深刻な問題になってきており、いいタイミングで協定を結ぶことができた。空き家が有効活用され、新しい投資にもなるよう、力を貸していただきたい」などと述べた。川口CEOは「私たちは全国的に『街』の循環再生文化を育むビジョンを大事に考えており、解体などをどう進め、幾らかかり、だれに頼むかなど、私たちのマッチングサービスも含めて協力する」などと話した。

 同社からは、「すまいの終活ナビ」と呼ぶWEBに必要事項を入力し、解体にかかる費用などが算出できるサービスの紹介があり、協定に合わせて、さっそく利用できるという。市によると、こうしたサービスを利用することで、空き家の解体を意思決定する後押しになると期待しているという。

 クラッソーネ社によると、すでに全国で67自治体、三重県内でも鈴鹿市や伊勢市、多気町と協定を結んでいるという。協力する効果は全国各地で確実に出ているといい、愛知県南知多町では行政による代執行直前まで行ったケースが回避でき、滋賀県米原市では所有者不明になっていた物件の解決もできたという。

 四日市市によると、2014年に「四日市市空き家等の適正管理に関する条例」を施行、翌年、国による「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、空き家を放置せず、適切な管理や利活用を促す取り組みを進めてきたという。2023年度の特措法改正で、周囲に悪影響を及ぼす前の段階から空家等の有効活用や適切な管理を確保していく規定などが強化され、四日市市では2023年3月、「四日市市空家等対策計画」を策定し、①空家等の適切な管理②管理不全な空家等の解消③空家等の利活用の促進の3つの基本方針で「空き家対策」に取り組んでいるという。