JR四日市駅周辺での新設が議論されている大学について話し合う第3回四日市市大学構想策定委員会が10月18日、市役所であった。これまでの調査結果などを踏まえ、具体的な大学像についての意見交換があり、「なぜ、四日市市に開設するのか」「同じような小さな公立大学をつくっても埋もれてしまう。これまでにない大学を」など、委員からは積極的に意見が出された。
企業や高校へのヒアリングなどを参考に、四日市市に設置する大学の方針案などについて意見を交わした。事務局からは、大きな柱として「四日市市に大学を設置する目的・必要性について」「四日市市に設置する大学の方針について」「人材養成の方針と想定される学部について」が提示されたが、委員からは柱建てにこだわらない意見が多く出され、時に、日本の大学のこれからのあり方を問うような発言も相次いだ。
「四日市市に大学を設置する理由」については、地元産業界からの要請が以前から強いことのほか、企業の集積があり、大学と企業が連携して研究を進められる地域的事情に優れている、などの意見があった。「四日市市に設置する大学の方針について」では、高度で実践的な研究を行うために大学院の設置が共通認識となっていた。また、日本人だけでなく、編入学生、社会人、留学生を積極的に受け入れ、教員に若手、女性、実務家、外国籍など多様な人材を登用することも語られた。「理系女子を積極的に受け入れてもいい」との意見もあった。
オンラインの活用が広がった今、大学での講義や研究を充実させるだけでなく、全世界の一流の専門家による講義が居ながらにして受けられるようにすべきだとの意見もあった。また、他分野を結びつけて研究を進めるイメージを広くもってもらうため、既存の「工学部」「理学部」などの部の名前を打ち砕いてもいいのではないか、といった意見もあった。
会議の前半ではいくつかの調査報告があり、四日市の大学のキーワードとして挙げてきた「理系」「企業との協働・連携」「実践的教育」に参考となる例として、「公立はこだて未来大学」「三条市立大学」「山陽小野田市立山口東京理科大学」「奈良女子大学」の調査結果や、大学設置形態について「大学等連携推進法人」や、鳥取県と鳥取市が共同設置した公立大学法人鳥取環境大学の事例についても報告された。
次回は12月開催の予定で、今回の意見をまとめ、基本構想報告書のたたき台を事務局側が示し、委員からの意見をもらうこととした。