三重県四日市市楠町で10月7日、「南楠鯨船まつり」が始まった。昨年、3年ぶりに開催されたが、感染症対策などでまだ制限が多く、今年、ついにコロナ禍前と同様の通常開催が実現した。操船や鯨役など計約260人が参加し、「鯨船の唄」を響かせながら、金色に輝く鯨船「龍神丸」が町の中を練った。祭りは8日まで。
南楠鯨船保存会(竹野兼主会長)の資料によると、今年から4年生以上の小学生の女子も参加できるようになった。従来は小学生男子4~6年生しか募集していなかったという。初参加の小学生女子は12人で、ピンクのリボンをつけた「姫鯨」を担当する。
7日は朝、祭り催行の安全などを願って神事をし、午前8時半過ぎ、南御見束神社の鳥居をくぐって鯨船「龍神丸」が町に繰り出す「出船」があった。その後、竜宮、楠漁港、新町、宝酒造楠工場などを巡り、行く先々で見物客を楽しませた。8日は宮崎本店(午前8時半)、楠町商工会(午後1時45分)、JAみえきた南楠支店(午後3時)、南御見束神社(午後6時、入船)などの予定になっている。
保存会のホームページによると、楠町南五味塚の鯨船がいつ始まったかは定かでないが、幕末ごろからとの説があるという。1880(明治13)年に「大網」という組織ができて、神社に奉納する祭り行事として盛んになったという。昭和初期には青年団が引き継ぎ、1960(昭和35)年に南楠鯨船保存会が発足したという。1996(平成8)年に四日市市の無形民俗文化財に指定されている。