四日市で土鍋供養祭、家庭での務めに感謝、萬古焼業界全体の振興も願う

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【土鍋を砕いて土の中に埋めて供養する萬古焼業界のみなさん=四日市市陶栄町】

 家庭などで務めを果たした土鍋の供養祭が10月7日、三重県四日市市陶栄町の萬古神社であった。EV(電気自動車)への生産シフトが進み、リチウムを含む鉱石ペタライトが入手不足になるなど、土鍋を中心に萬古焼業界も苦労はあるが、これを乗り越えて新しいチャンスにと、業界全体の振興も願った。

 萬古陶磁器振興協同組合連合会(佐治卓弥理事長)の主催で、36回目(昨年はコロナ禍で中止)。組合の役員ら約20人が土の神と火の神を祀る萬古神社に集まり、家庭などで使われた20余の土鍋を神前に供えた。祈祷のあと、境内に掘った穴に、土鍋を金づちで砕いて埋め、これまでの働きに感謝した。

 萬古焼の産地の四日市は、昭和30年代半ばに耐熱性の優れたペタライトを含む土で土鍋を焼き、そのヒットで国内生産の約8割のシェアを誇る。一時は安い中国産などに押されたが、中国で人件費が上がるなど価格差が再び縮まりつつあり、頑張りどころだという。

 ペタライトについても、あらたな産地を探すなどし、当面の確保の目途がつきつつあるという。ただ、土によってリチウムなどの含有率が異なるため、品質を維持するために、調合などの研究を進めているという。

 連合会の熊本哲弥副理事長(58)は「ペタライトに限らず全体的な原料の価格上昇などもあり、難しさはある。逆に言えば、こんな時だからこそ、これを乗り越えた時には新しいチャンスがあると考えてやっています」と話していた。