「じばさん」の将来像など議論、決算案はすべて認定、四日市市議会の決算常任委員会

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 三重県の四日市市議会は9月13日、決算常任委員会を開き、市地場産業振興センター(略称「じばさん」)の管理運営費について審査した。市は2027年度までに新しい産業振興の拠点として整備すると説明したが、委員からは、そもそも、この施設がどうあるべきかについて様々な意見が出された。委員会は、本会議での委員長報告の中で論議をまとめ、市側に対し、今後、施設活用の検討状況を適宜行うよう求めることにした。2022年度の決算関係4議案については、いずれも可決すべきものとした。【四日市市議会の議場】

 「じばさん」の議論は、地域の名産品などを販売している1階の「名品館」への批判から始まった。市側は、買い物がしやすいレイアウトなどを施したと説明したものの、委員からは「サービスも改善されておらず、市の顔となる売り場としていかがなものか」など、強い不満が示された。

 管理運営費は、歳入が5、6階を中心とする貸館料など3100万余円に対し、歳出は施設の管理委託費、警備・保守業務、光熱水費、修繕量などの6100万余円で、収支改善への考え方を問う意見も強かった。「民間に活用を任せた方がうまくいくのではないか」との声もあった。

 市側は、中央通り再編に合わせ、近鉄四日市駅東にできる新図書館も入る新ビルの1~2階に名品館を移す計画で、「じばさん」の1階には産業都市四日市をPRできる展示スペースを設けるという。2階以上で、起業をめざす人への支援、中小企業などの経営相談や人材育成、起業の従業員のスキルアップ、学び直しなどができる機能を展開したいと説明した。5、6階は貸館が中心で、研修やセミナーなどにも利用してもらう考え。

 委員からは、「起業も大切だが、事業を継続するための支援も重要」「貸館だけの施設では意味がない。企業をつくっていかないと」「せっかく隣に環境未来館があるのだから、子どもたちから利用できるデジタルの館にするような発想も必要では」「国や大学のサテライトオフィスを置くとの説明だが、目星があるのか」など、質問や意見が続出した。

 市側の説明によると、全国的には地場産業振興センターは消えていっている現実があるという。委員からは「その全国的な状況のなかで、あえて『じばさん』を活用するのだから、より、何をしていくのか、しっかり定めて運営すべきだ」と強い要望が出た。