四日市市はこのほど、ふるさと納税の赤字が続く状況を打開しようと、ふるさと納税・シティプロモーション戦略プロデューサーに、電通の広告制作部門でコピーライターやクリエーティブディレクターとして様々な企業の商品広告などを手掛けた日下幸一郎さん(59)を採用、5月8日付で着任した。記者会見が同9日、四日市市役所で開かれた。【記者会見で泗水の里を手に、思いを話す日下さん=四日市市諏訪町】
日下さんは山口県出身の59歳。早稲田大学卒業後に電通に入社、一貫して広告制作部門で活躍し、朝日広告賞、毎日広告デザイン賞などの受賞歴がある。2020年から2年間は、内閣府の地方創生人材支援制度で、石川県加賀市に「シティプロモーション政策官」として出向、企業版ふるさと納税の制度を活用した企業からの寄付による事業や広報、シティプロモーションなどの業務に従事したという。
森智広市長と会見に臨んだ日下さん。四日市の地場産品などの魅力についても話した。四日市に引っ越しをした際に水道水を飲み「美味しい」と感じ、「四日市のおいしい天然水 泗水の里」を購入。会見では泗水の里を手に笑顔で魅力を話す場面も。「コンビナートのイメージが強かったが、住んでみれば自然が豊かで、産業のバランスが良い地域だと感じた。返礼品のPRの仕方やマーケティングの視点を改善していきたい」などと意欲をみせていた。また、「年収1千万円」という待遇で公募、全国的にも話題になったことから、報道陣から質問があると、「テレビで森市長が話しているのを見たことがきっかけで応募しました。期待に応えられるようにしたい」と力強く話していた。
森市長は「ふるさと納税の赤字の改善に市役所一丸となって取り組んでいく。日下プロデューサーの民間での経験、発送を存分に生かし、起死回生の一手を打ちたい。状況打開の起爆剤になれば」と期待を込めていた。
「年収1千万円」で話題に
四日市市はふるさと納税の赤字が年数億円単位で広がっていることなどを踏まえ、専門性や知見など、民間の力を活用しようと、「ふるさと納税・シティプロモーション戦略プロデューサー」を公募した。今年1月29日の募集締め切りまでに全国から147人の応募があり、待遇として「年収1千万円」としたことから、メディアなどでも話題となった。年齢層は40代~60代が多く、職歴では広告代理店、旅行代理店、銀行、証券会社、メーカーなどに勤務経験がある人が多かったという。1次選考に書類選考、第2次選考として「プレゼンテーション面接」を行い、日下さんの採用が決まった。
決起大会を開催 参加事業者を募集
四日市市は5月31日午前10時から、四日市商工会議所(諏訪町)1階で、ふるさと納税の強化を図ろうと、市内の事業者らを対象に「共に創る、共に潤う。四日市市ふるさと納税決起大会 ビジネスチャンスがここにある」を開く。
すでに返礼品事業者になっている人や、市内の事業者で、ふるさと納税の返礼品に関心がある事業者に向け、森市長がこれから市が取り組むことや、日下さんがふるさと納税の現状と選ばれる返礼品の傾向と対策について話す。参加無料で定員は100人(先着順)。5月9日午前9時から受け付けを開始している。申し込みは専用フォーム(https://logoform.jp/f/knaP5)へ。