地域の足「生活バスよっかいち」が20年、運営するNPO法人に感謝状

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 地域が運行する全国初のバス路線として注目された「生活バスよっかいち」が運行開始から満20年になった。この間の功績をたたえ、4月20日、運営する「NPO法人生活バス四日市」に四日市市から感謝状が贈られた。街の発展で身近な場所に商業施設などが増え、新型コロナの影響で外出控えが出るなど、最近はやや利用が減っていたが、買い物バスツアーなど新しい企画も考え、安定的な運行への努力が続いている。【感謝状を手にするNPO法人生活バス四日市の西脇良孝理事長(右)と森智広市長=四日市市役所】

 市役所8階の応接室で贈呈式があり、森智広市長が感謝状をNPO法人生活バス四日市の西脇良孝理事長(81)に手渡した。森市長は「私が市議のころ、運営のノウハウをお聞きしようと伺ったこともあります。地域に根付いた交通として、これからも力をお貸しください」とあいさつした。西脇さんは「高齢者や免許のない人の買い物や通院に役立ち、家に閉じこもる人を減らし、地球温暖化対策や地域活性化にも役立ってきたと思います。住民や沿線の企業、市の補助など多くの人たちに支えられてきました」などと、この20年を振り返った。(感謝状を手前の森智広市長から受ける西脇良孝さん)

 2002年2月にバス路線廃止の通達があり、影響を強く受ける羽津いかるが町自治会にいた西脇さんは、いろんな方面に相談。その結果、自ら地域でバスを運行する方向となり、新しいバス路線を考え、沿線企業に協賛金を出してもらうなど、地域で協力の輪を広げていったという。

 本格運行開始とNPO法人の設立は2003年4月。路線廃止の通達から、たった1年でここまでまとめられたことを、西脇さんは「私は交通に関しては全くの素人だったが、沿線企業や仲間などの見る方向性がタイミングよく一致した」と話す。(この20年をふりかえる西脇良孝さん)

 生活バスは現在、おもなバス停でスーパーサンシ大矢知店~垂坂~大谷台~いかるが~四日市羽津医療センター~霞ヶ浦駅を1日4往復しており、運賃は20年間変わらずの1回100円。最近は買い物バスツアーなど新しい企画も試みている。西脇さんは、バスのよさを見直してもらい、もっと沿線の協力を増やし、ほかの地域へも生活バスが広がっていけばと考えている。