「景況感は2半期連続で改善、先行きも改善見通し」、三十三総研が経営者アンケート調査結果を発表

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 三十三フィナンシャルグループのシンクタンク、株式会社三十三総研が第54回経営者アンケートの調査結果を発表した。景況感を示す景気判断D.I.値は8半期連続のマイナスになったものの、マイナス幅は縮小し、2半期連続で改善した。今回、賃金等の引き上げの実施についての特別調査を行い、その結果、2022年度に賃上げを「実施した」企業の割合は85.5%、2023年度の「実施予定」は86.1%となったという。【県内景気判断D.I.の動き=三十三総研の資料から】

 同総研によると、2022年度下期(2022年10月~2023年3月)の県内景気は、景況感を示すD.I.値がマイナス13.9と8半期連続のマイナスになったものの、2022年度上期(2022年4月~2022年9月)のマイナス25.6から11.7ポイント改善した。来期(2023年4月~2023年9月)のD.I.値はマイナス3.0とさらにマイナス幅が縮小し、経営者の景況感は改善する見通しだという。

 業界別にみると、景気判断D.I.値は製造業、建設業は8半期連続、非製造業は10半期連続のマイナスとなったが、製造業、非製造業で2半期連続、建設業は2半期ぶりに改善した。先行きについて、建設業はマイナス幅が拡大する一方、製造業、非製造業はマイナス幅が縮小する見通しという。

 設備投資の実施状況は、「実施した」企業の割合が2半期ぶりに増加。在庫状況は「過剰」とみる企業の割合が2半期ぶりに減少した。雇用状況は「不足」とみる企業の割合が3半期連続で増加した。

 賃金等に関する特別調査では、引き上げの取り組み内容(2022年度)について、「定期昇給」と回答した企業の割合が64.5%と最も高かった。引き上げをする(予定を含む)理由については、「社員の意欲向上」と回答した企業の割合が70.8%と最も高かった。一方、引き上げをしない(予定を含む)理由について、「景気の先行きが不透明」と回答した企業の割合が58.5%と最も高かった。(賃金等の引き上げ実績・予定の企業割合についての表=三十三総研の資料から)

 経営者の自由記入の声では「光熱費、特に電気代の値上げが収益を圧迫」(食料品製造業)、「資材価格の高騰が続いている」(建設業)、「廃業する業者が出始めた」(その他の製造業)、「建設業を廃業する会社が多くなった」(建設業)、「同業者で支店閉鎖」(鉱物・金属材料卸売業)、「人材確保が困難」(鉄鋼業)、「景気回復に伴い、更なる採用難が見込まれる」(医療・保健衛生業)などがあった。

 アンケートは、三十三ビジネスクラブ会員で資本金1億円以下の三重県下法人企業1572を対象に、2023年2月下旬~3月中旬に郵送、インターネットにより実施した。回収数は567で、回収率は36.1%という。