「生誕120年記念 棟方志功展」が三重県菰野町のパラミタミュージアムで開催されている。日本を代表する版画家の代表的な作品や肉筆画、書など計80余点を展示し、多方面で活躍した棟方志功の姿を紹介している。4月16日に記念講演会が開催される。展示は6月4日まで。【きれいな心の世界で美を射止める、と表現した「華狩頌」=菰野町大羽根園松ケ枝町】
パラミタミュージアムによると、棟方志功は1903年に青森で生まれ、日本の伝統芸術である板目木版画の大画面の特性を生かした表現で世界的な評価を受けたとされる。同時に、倭画(肉筆画)や書にも才能を発揮し、寺や個人宅などで大胆に筆をふるったという。
展示会場は、大きく肉筆、版画に分かれ、ほかに、棟方志功が影響を受けた民芸作家などとの出会いも紹介している。展示室を訪ね、多くの人が最初に出会うのは、京都の個人宅で筆をふるった襖絵の墨書「乾坤無妙」(下写真)。そのほか、肉筆彩色の万葉集歌や天女なども見て回れる。
隣室には代表的な版画の作品が並ぶ。入り口の「華狩頌」は、狩人が誰も弓矢や鉄砲を持っておらず、「心で花を狩る、きれいな心の世界で美を射止めること、心を射止める仕事、そういうものをいいなあと思い」などの言葉を残している。
戦前の代表作「二菩薩釈迦十大弟子」。十大弟子の左右に立つ菩薩の板木が火災で焼失したとされ、その後、二菩薩は作り直されたが、焼失前の二菩薩の版画とそろえて展示されている(下写真)。
1956年に第28回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展に出品し、国際版画大賞を受賞した「柳緑花紅頌」は、1月から12月のそれぞれの作品が一組になっており、全作をそろってみることができる(下写真)。
また、大正・昭和の小説家や歌人で、岡本太郎の母の岡本かの子の詩を作品にした「女人観世音板画巻(詩・岡本かの子)」なども展示されている(下写真の右)。
記念講演会は4月16日午後2時から。孫で棟方志功研究家でもある石井頼子さんが「棟方志功~出会いと作品」と題して話す。聴講は無料だが、入館券が必要。定員100人で、当日午後1時から整理券を配布する。
また、5月5日午前10時~午後3時、「子ども写生大会」がある。小学生対象で、こちらは事前申し込み。同14日午後2時からはパラミタコンサート。「からくり人形が『能』を舞うvol5」。観覧は無料だが入館券が必要。
パラミタミュージアムの入館料は一般1000円、大学生800円、高校生500円、中学生以下は無料。