来年1月2、3日に開かれる第99回箱根駅伝(関東学生陸上競技連盟主催)に、四日市市出身で日本体育大学の田中慎梧選手(3年)と名村樹哉選手(4年)が出場する。2人は、地元四日市からの期待に応えようと、闘志を燃やしている。【箱根駅伝予選会を走る田中慎梧選手(ゼッケン91)と名村樹哉選手(ゼッケン86)=提供写真】
「感動してもらえる走りを」 田中慎梧選手
田中選手は陸上長距離の強豪・県立伊賀白鳳高校出身で3年の時に5000mで東海大会、全国高校駅伝に出場した。箱根駅伝出場を目指し日本体育大学に進学するも、新型コロナウイルス感染症の第1波の中で、地元に残り夏まで入寮できなかった。上京後は寮生活と厳しい上下関係に慣れるのが難しく、さらに合宿で膝を負傷、1か月半練習できなくなった。それでも期待してくれる人や、経済的に大きな負担をしてくれる親の思いに応えようと、必死で練習に励んだ。
2年のときに徐々にレースで結果が出るようになり、3年生となった今年、5000mで練習時に13分台が出るように。箱根駅伝の予選会のハーフマラソンでは64分29秒で、全体で80位に食い込んだ。チームは5位で予選を通過。友人から「予選会見たよ。本番も頑張って」とメッセージが届き、モチベーションを上がった。その後に出場した世田谷ハーフマラソンでチーム2位の64分41秒を記録、メンバー入りを果たした。
箱根駅伝本番は9区を希望。来年は地元を走る全日本大学駅伝への出場も目指す。「見る人に感動してもらえる走りをするので、応援してほしい」と語った。
「全てをかける」 箱根駅伝後に競技引退 名村樹哉選手
名村選手は四日市市立南中学3年の時、「美し国三重市町対抗駅伝」の四日市チームのメンバーに選ばれ、補欠選手を対象にした友好レースに出場。県立四日市工業高校に進学し、全国高校総体は逃したものの、都道府県駅伝に出場するなど全国舞台も経験。箱根駅伝に出たいと日体大に進学し、2年生でアンカーの10区を任された。9人がつないだたすきを受ける重みを感じたが、念願を叶えた喜びを噛みしめ、ゴールの大手町までの道のりを疾走、憧れ続けた場所の空気を味わった。結果は区間17位、満足できず3年生でリベンジを狙い、メンバー入りしたものの、12月に疲労骨折。諦めきれず練習し、監督からも期待されていたが、当日変更で出場できなかった。
4年生になって、箱根駅伝に焦点を合わせ、練習を重ねた。予選会は64分20秒の記録を出し、全体70位で本選出場をつかんだ。経験のある10区よりも、エース区間の「花の2区」など勝敗に大きく影響する重要区間を希望する。卒業後は一般企業へ就職が内定、陸上競技からは引退するため、箱根駅伝が最後の大舞台になる。「成長させてくれたチームや、今まで支えてくれた人に恩返しできる走りをする。人生最後のレースに全てを賭けて挑む」と熱い思いを語った。