三重県立四日市農芸高校(四日市市河原田町)の生徒がかかわったGAP認証活動と日本酒づくりのお披露目の場をつくりたいと、協力している津市の酒造会社が資金の応援のためクラウドファンディングを企画した。生徒が育てた米でつくる酒は5年目になるが、新型コロナの感染拡大で2年目以降は活動を縮小せざるをえず、学校の外で生徒たちの成果を見てもらう機会はなくなっていた。世の中が変わり始め、大阪や東京での販売イベントの計画も出てきており、生徒たちの旅費などの活動資金にあてたいという。【四日市農芸高校の生徒たちの米の収穫の様子=同校提供】
同校によると、GAP認証は農産物の食品安全、環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みで、多くの審査項目をクリアし、毎年の認証審査が必要だ。認証は、生産物などが一定の基準のもとに生産されている証明になり、その活動から生まれる日本酒も、自信をもって提供できる。同校では学科を超えて生徒が集い、課外活動として認証に取り組むGAP班があり、今年は農業科学科、食品科学科の1~3年、10人余が活動している。(四日市農芸高校生徒の田植えの様子とGAP認証のシール)
認証を初めて得た2018年には酒米「神の穂」の栽培も始めており、日本酒づくりを津市の寒紅梅酒造が担ってくれた。生徒たちは米を栽培し、収穫し、酒造りでは同酒造へ行って手伝ってきた。瓶に貼るラベルなどもつくって、今回も、いよいよ来年には販売という段階になっている。
クラウドファンディングは11月中頃に「キャンプファイヤー」で始まって、締め切りまで20日を切った。目標額500万円に対し、14日夕現在で77万円余の支援が寄せられている。ネット販売を利用した海外への活動や、次世代の農業に高校生が取り組んでいくための新しい温室、ドローン、GPSなどの購入については、今のままでは難しい状況だという。
生徒たちを指導している奥田毅教諭は「毎年、多くの資料をまとめなければならないGAP認証の活動も大変だが、米づくりから日本酒の製品ができるまでを一貫して体験できることは、生徒にとってもこれとない機会。せっかくがんばったのだから、せめて、いい発表の場をつくってあげられればと思っています」と話している。
(記事中の写真は四日市農芸高校からの提供です)