三重県桑名市出身で海外留学から6年ぶりに完全帰国したリコーダー奏者の中村栄宏さんが、あらたなリコーダーアンサンブルグループ「Ensemble Reco+」を結成、お披露目となる初演奏会を11月20日、桑名市中央町3丁目の柿安シティホール(桑名市民会館)で開く。いずれも国内外で活躍する若手奏者3人とともに次世代の演奏を見せてくれそうだ。【新しいグループ「Ensemble Reco+」のみなさん。中村栄宏さんは前から2人目】
中村さんは小学校の音楽の授業でリコーダーが好きになった。東京理科大学大学院で電気工学を専攻し、ソフトバンクにエンジニアとして入社したが、本格的にリコーダーに取り組むため、会社を辞め、オランダのアムステルダム音楽院リコーダー専攻へ留学した。今回、学部、大学院ともに特別栄誉賞付きの満点首席で卒業。日本人では初の快挙になった。(写真は留学中の中村さん)
県内とのつながりも大切にし、留学中も一時帰国したときは県内の学校でリコーダー演奏の指導をし、桑名や四日市などで演奏会を開いてきた。第20回三重県文化賞・文化新人賞、第30回全日本リコーダーコンテストで独奏、重奏ともに最高位の花村賞、さらに複数の海外の演奏コンクールでも多くの賞を受賞している。
留学中は、海外での革新的なレッスンに出会い、中村さんは練習に熱中。大学在籍中にコロナ禍が始まり、大変な思いもしたが、奏者としても人間としても成長した。「リコーダーの知識をたくさん身に着けて、この楽器のアンバサダーとして第一線で活動していきたいという気持ちがいっそう強くなった」と話す。
今回の新グループは、東京で活動するプロのリコーダー奏者による大編成アンサンブルに中村さんが参加したことをきっかけに結成した。「ずっとやりたかった常設のリコーダーアンサンブルグループ。日本にはプロとしてのリコーダー四重奏団はきわめて少なく、この楽器の魅力や、アンサンブルの楽しさを高い水準で発信できると信じています」
メンバーは中村さんのほか、各地でアンサンブルを中心に演奏し、講師など普及活動にも取り組む宮里あやさん、「ミラノ芸術音楽祭」などイタリアの古楽音楽祭にも出演した桐畑奈央さん、東京リコーダー音楽祭に参加し、アンサンブルへの参加も多い大塚照道さん。いずれも若手の実力派奏者だ。
コンサートには「様式と色彩」のタイトルがついている。「さまざまな時代の楽曲や異なる種類の楽器をひとつのコンサートの中で瞬時に組み合わせることができるのがリコーダーの大きな強み。バラエティに富んだ様式感、色彩感を味わっていただきたい気持ちからです」と中村さん。
11月20日のコンサートは午後1時半開演。桑名では子どもたちによるプレコンサートもある。前売り3000円、当日4000円。中村さんは「結成したての新しいグループですが、日本を代表するリコーダーアンサンブルとして活動していきたいと思っています。ぜひ応援よろしくお願いします」と話している。問い合わせは学習塾マザーグース(0594・84・5453)か柿安シティホール(0594・22・8511)へ。
桑名会場のほか、11月22日に神戸市中央区の日本基督教団神戸聖愛教会(午後7時開演)、12月17日に横浜市戸塚区の「Sala MASAKA」(午後3時開演)でも演奏する。