四日市市消防本部(三重県)の公式キャラクター「ラブ」のLINEスタンプ配信が上々の出足を見せている。LINEスタンプを使いながら防火意識を高めてほしいという広報の手法だが、スタンプ誕生には予防保安課に勤務する2人の職員の息の合った協力があった。【「ラブ」公式LINEスタンプを生んだ森雄志さんと星野早紀さん=四日市市西新地】
2人は、消防本部予防保安課の森雄志さん(33)と星野早紀さん(31)。森さんは2014年に採用され、現場などを経て、今は保安係で危険物に関する広報やガソリンスタンド、タンクローリー、コンビナート等の許認可業務などに携わっている。星野さんは翌15年の採用で、やはり現場などを経て、今は予防係で申請された建物の消防用設備に問題がないかなど、図面と向き合う仕事が多い。
「ラブ」は2人が消防の仕事に就く前、2004年度に先輩職員のアイデアで生まれ、翌年、一般公募で「ラブ」の名前がついた。市の消防車両や職員に貸与されるTシャツなどにイラストが描かれ、2人にとって「ラブ」は身近な存在だった。
森さんは、2年ほど前から、ツイッター、インスタグラム、ホームページなど広報にも使える発信手段がいくつかある中で、利用者の多いLINEスタンプで何かできないかと思うようになった。偶然、星野さんも「ラブ」のLINEスタンプがあったら広報に使えるのではと考えていた。
同じ予防保安課で働きながら、しばらくはお互いのアイデアを話すことはなかったが、1年ほど前、ランチタイムでの何気ないおしゃべりの中で、2人が同じアイデアをもっていることが分かった。
「今でもどちらから話し始めたか思い出せない」というタイミングでの意見の一致。森さんがこのアイデアを実現させるための企画を練り、星野さんがラブの40種類のイラストを描く役割分担で動き出した。
「私は新しいことを自分で始めるのはちょっと苦手で、森さんが手続きや調査を進めてくれて助かった」と星野さん。星野さんは美術部などの経験はなく、見る角度を変えた「ラブ」の表情に苦労することもあったが、他の職員や友人のアドバイスが助けになったという。配信開始に伴うチラシや広報グッズを作成する際は、課内の全員が協力してくれたという。
2人によると、11月1日の配信開始から約1週間の7日朝の段階で、販売されたのは250~300セットとみられている。「このスタンプを機に、『ラブ』をみんなに知ってもらい、火災予防につなげたい」と星野さん。森さんは「火災を減らすために啓発活動は不可欠。これを皮切りに、さらに多くの手法で広報を展開していけたらいいなと思います」と話していた。(公式LINEスタンプのイラストは四日市市提供)