三重県四日市市の各地区で伝わる芸能を発表しあう第11回郷土が誇る芸能大会が11月6日、市文化会館であり、保存に努めている6団体が舞台で披露した。ふだんは地区の祭りなどでしか見られない伝統の芸能を、幾つかまとめて見られるだけでなく、コロナ禍で出番がなくなっていた演者にとっては、自らの熟練度を確認できる貴重な機会にもなった。【日永つんつくおどり保存会のみなさんの発表=四日市市安島2丁目】
トップバッターの日永つんつくおどり保存会(日永地区)は「正調日永つんつくおどり」のほか、現代ふうに新作した音頭などを披露。鳳鳴社(神前地区)は地元で受け継ぐ雅楽の古の調べで「越殿楽」などを聴かせた。
南浜田舞獅子保存会(浜田地区)は箕田流の獅子舞。紙吹雪が舞う華やかな演出もつけての流麗な舞いを見せた。
御館獅子舞保存会(三重地区)は山本流の獅子舞。7世紀ごろ、天武天皇が江田神社に獅子頭を奉納したのが始まりといわれる。
南納屋町鯨船保存会(港地区)は県指定有形民俗文化財の鯨船山車「明神丸」を保存し、年1回、諏訪神社の祭礼で奉納演技をしている。この日は山車をスクリーンに映しながら唄と鯨を射る演技を見せた。
長年、保存会を引っ張ってきて、今年、四日市市文化功労者の表彰を受けたばかりの駒田英市さんも舞台でマイクの前に立ち、伊勢音頭などで90歳を過ぎているとは思えない力強い声を聴かせた(前列向かって右側のマイク)。
最後は、お諏訪踊り保存会(水沢地区)の世の中おどり。江戸時代に農業用水が引かれ、お礼の踊りを奉納したのが起源といい、華やかな飾りと大きな太鼓を大きく動かしながらの演技が会場を沸かせた。