素材と品質の安定にこだわる 半平や

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ショーウインドーに立つ奈奈さん

 魚のすり身に味付け、成形し揚げた「はんぺい」で、どこにもない手作りの味を求める四日市市富洲原町の「半平や」の山本利光さん(62)と奈奈さん(55)さん夫妻。店舗販売や朝市の出店で多くのファンをつかんでいる。

 山本さんは祖父の代から続く魚肉練り製品を製造する会社を経て、独立。会社では機械で大量生産していたが新商品を試作する際は、手で成形し一つずつ揚げた。手作りの味は格別で、「自分だけのはんぺいを作りたい」と2004年「半平や」をオープンした。

 スケトウダラとシログチのすり身に、野菜や魚介類など季節の素材を入れ練り合わせる。気温で硬さが変わるため、練り具合で調整。奈奈さんは野菜を切り成形もするが、硬さに影響する魚の微妙な水分量の差は山本さんしか判断できないため練りは山本さんの仕事だ。素材にこだわり、人気商品の「丸ごとアスパラ」に使うアスパラが入荷しない時は、他のアスパラで代用せず欠品に。山本さんは「品質の安定は徹底する」と話した。メニューは、「クリームチーズロール」「キノコペペロンチーノ」などオリジナリティを追求。スーパーに比べ価格は高いが、「納得の美味しさ」と言われるそうだ。売り切れる日もあり電話予約する人も。

 揚げたてを食べてもらいたいと、富州原町の市「29MARKET」や県外の朝市に出店。リピーターから注文を受け発送することも多い。店舗では魚の移動販売を営む友人が出店し、人とのつながりも大事にする。奈奈さんは「形は不揃いで大量生産はできないが心込めて作っています」と笑顔で話した。

山本さんに聞きました

はんぺいの美味しい食べ方

冷蔵庫から出して常温に戻すか、オーブントースターで軽くあぶる。おでんにする場合は煮込むと煮汁を吸い、食感を損なうので、食べる直前に鍋に入れ温める。

※2022年10月1日(212号)発行 紙面から