侵入者や暴漢に備えようと12日、三重県四日市市芝田2丁目の市立四日市病院で防犯訓練があった。防犯具のさすまた(刺股)の扱いも習ったが、思うようには暴漢役の警察官を押さえられず、参加した看護師らは対応の難しさも実感した様子だった。【さすまたの扱い方や注意点を警察官から習う看護師や職員ら】
病院によると、これまでに侵入者などの前例は起きていないが、何かあれば大勢の患者らの安全を確保しなければならないため、防犯意識を高めようと2019年に最初の訓練をし、今年は2回目になるという。医師、看護師、職員ら約50人が参加した。
はじめに、四日市南署の新村幸治生活安全課長が日ごろの備えの大切なことを講堂で解説した。ハード面では防犯カメラの設置や、病院の入り口に侵入者への警告を出して不審者に対する意思表示をすることや、さすまたや盾などの資機材を準備しておく。ソフト面では、ふだんから不審な人物や車両などの情報を共有しておくことや、患者がパニックにならないよう、暗号などを決めておいて職員間の情報伝達をする準備も大切だという。
このあと、実際に病院の受付近くで警察官が暴漢役になり、さすまたで動きを制止できるかどうかを実習した。男性3人がかりでさすまたを使っても、力任せで暴漢役に逃げられるなど、無理に制圧しようとすると危険なことも分かり、新村課長は「警察官が到着するまで、暴漢の行動範囲を狭めておくという考えで使ってほしい」と注意点を伝えた。
病院では、昨年、大阪市北区のビルのクリニックで多数の死者を出した放火殺人事件が起きており、今年も福岡市東区の病院で男性医師、津市の病院では看護師の女性が刺される事件が起きている。