四日市市上海老町の「haruいちご農園」の内田直人さん(45)と妻の英子さん(43)は、「食べる人を笑顔にしたい」と、イチゴの生産に奮闘している。
13年ほど前、当時1歳の長男の子育て中だった英子さんは、内田さんから「脱サラしてイチゴの生産をする」と言われた。「自分の作ったものを、相手に届くまで見届ける仕事がしたい」と、土日に四日市鈴鹿地域農業改良普及センターの普及員から指導を受けた。安定した収入のある生活を手放す不安を感じ、夫の両親と止めようとしたが、土地を借りる地主と契約を進めるなど止められる段階ではなく、家族で栽培をすることになった。
1年目、収穫時期の見定めができず最初の実を甘くしすぎて、次になる実に味がしなかった。内田さんは深夜まで働き、英子さんは保育園が休みの日は、ハウスで子どもを見ながら作業するなど苦労した。
品質にこだわり、有機肥料を手作業で散布し、葉や花を摘む作業にも手間をかける。その甲斐あって軌道に乗り、4年目にはハウスを増設、スタッフも増やした。勤務する岩田亜由美さん(53)は「美味しい理由は、手間をかける栽培方法だとわかった」と話した。
イチゴ狩りもできるが、制限時間内に無理して食べる人や数粒しか食べない子どももいた。今は2時間半以内で摘み、量り売りに。持ち帰りもでき好評だ。「お客さんの笑顔が見たい」その思いの込められたイチゴが今年も育っている。
*イチゴを使ったレシピ紹介*