三重のブランド野菜 なばなを育てる 内田幸輝さん

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 三重県が全国1位の生産量を誇るなばなは、10月下旬ごろから出回り始め、翌年の4月ごろまで出荷される。四日市市高角町の内田幸輝さん(80)は、先代から続く兼業農家。7年前からなばなの生産を始め、冬から春にかけ食卓に届けられるよう奮闘している。
 内田さんは、30歳のころから、早朝に農作業をし、職場に出勤するように。会社員の傍ら米や野菜作りをしてきた。「あのころの兼業農家は皆そうだった」という。妻の洋子さん(79)も、別の仕事をしながら農作業を支えた。
 7年前から始めたなばなは、最初は土中の菌によってこぶができて、生育が不良となる「根こぶ病」になり3分の1が収穫できなくなったことも。今は順調に栽培できるが、冬は凍り付く寒さの中、朝8時半ころから畑で作業を始め、午後3時から7時まで袋詰めし余分な水分を飛ばし、翌朝、袋を閉じ出荷する。1日11時間労働で負担も大きいが、愛知県に住む長男も生産の手伝いをし、三重のブランド野菜の生産を続けている。内田さんは「ゆでたなばなにごまだれをかけるのがお勧め」という。
 定年退職後は、パート勤務をしながら、地域の自治会長や連合自治会長を務めた内田さん。耕作放棄地が増え、田畑が荒れていくのを見過ごせず、その土地を借り、有志と共に集落営農を始めた。周辺道路の草刈りも行い、地元の環境を守っている。
 内田さんは「高齢化や後継者不足の問題もあるが、集落営農などの手段で、生産を続けて、地域も守っていきたい」と語った。

*なばなを使ったレシピ紹介