【紙面企画 野菜を食べよう】娘を嫁に出す気持ちで 高木農園

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 「甘くて美味しい」と評判のトウモロコシを作る四日市市下海老町の「高木農園」の高木基博さん(38)、妻の智代さん(36)。一つ一つの実を大切に育て、出荷の際はタオルで優しく拭いて奇麗にし、娘を嫁に出す気持ちで市場に送り出している。【トウモロコシ畑の前に立つ高木さん(左)と智代さん=四日市市下海老町で】

 20歳の時、親の跡を継ぎ農業を始めた高木さん。26歳の時には智代さんと結婚。農業の経験はないが、体力に自信があった智代さんは、未経験の野菜作りも音を上げることもなかった。2男1女を授かり子育てしながら畑仕事を続けてきた。

農園では、米や麦、大豆や白菜なども生産している。トウモロコシは生産15年目、「獣害や台風被害もあるが、食べた人の美味しいという声が聞けるのが嬉しい」と話す。

 発芽したばかりのトウモロコシの周りの雑草を勢いよく抜くと、根を傷めてしまうので、一つずつ丁寧に取り除く。2つの株を隣り合わせて育て生育を競わせ、強い方を選んで、片方は抜く。実をつけ始めると、収穫する実を一つに決めて、他の実はヤングコーンとして早めに摘み取る。生存競争を勝ち抜いた実は、糖度を蓄え収穫直後は生で食べられるという。

 トウモロコシは夜間に糖度が増すので、高木さんは朝4時には畑に出て収穫し出荷。スーパーの開店と同時に朝採り野菜コーナーに並ぶ。手間を惜しまず丁寧に育てたその味は口コミで広がり、収穫時期には注文の電話が入る人気ぶりだ。

 1か月ほどの収穫期間に5品種栽培している。黄色と白が混ざった品種や、3日で収穫適期が終わる白い実だけの品種もある。2人は「今しか採れないトウモロコシを食べて」と話した。