三重県乳腺患者友の会「すずらんの会」会長の徳山直子さん
3人の子育て中に乳がんを患い、乳房全摘手術を受け抗がん剤治療や化学療法も経験した、三重県乳腺患者友の会「すずらんの会」会長の徳山直子さん(64)(四日市市笹川)。マザー・テレサが愛した言葉「暗いと不平を言うよりも、自ら進んで明かりを灯しなさい」を座右の銘に同会を立ち上げがた。自宅でリンパマッサージサロンを開き、同じ病に苦しむ人たちに27年間寄り添ってきた。【自身の闘病体験を語る徳山さん=四日市市笹川で】
乳がんが判明したのは、中学1年を筆頭に3人の子育てに奮闘していたころ。子どもたちには病名を告げず手術を受けたが、入院前にはそれぞれの担任教員に学校でのフォローを頼んだという。
手術を終え、退院後は抗がん剤などで治療を続けた。「いつ死ぬか分からない」不安な思いで、とりつかれたように家中を片付け、どこに何が入っているかを分かるようにメモを貼った。「子どもの前では明るく振る舞っていたけど、不安で泣いてばかりだった」と振り返る。
半年間の化学療法を終えたころ、1人でプールへ行った。「25㍍泳ぎ切れれば自分は生きられる」。筋力は落ちていたが、必死で泳ぎ切れたことが自信になり、前を向けるように。疲れている時でも無理やり笑顔を作っていると、不思議と板につき、周囲から「あなたの笑顔に救われた」と言われるようになった。
今年度は市のがん検診が中止となり(現在は再開)、乳がんのセルフチェックの重要性が高まっている。「大変な時は『気持ち』という車輪が『体』というもう一つの車輪を引っ張りすぎて外れてしまい、病気に陥ることもある。こんな時だからこそ、自分の心と体の調子を見つめ、無理をしていないかチェックし、快活な人生を歩んでもらえたら」と笑顔で語った。
(2020年10月10日発行 YOUよっかいち第189号掲載)