三重県内では7月10日に新型コロナウイルスの新規感染者が約2か月半ぶりに判明し、特に7月下旬からは連日、複数人の感染が報告されている。全国的に感染拡大の「第2波」とも呼べる状況にあるなか、ウイルスの特徴や「正しい恐れ方」について、感染症専門医で三重県立総合医療センター(四日市市日永)副院長の白木克哉医師=写真=に聞いた。
感染経路や症状
主な感染経路は飛沫と接触によるもので、空気感染はほとんどないとされている。感染者の80%程度は発熱やせきなど軽症の段階で終わるため、風邪だととらえ、既に治っていたという人もいるようだ。しかし、20%ほどは重症化し、そのうち5%は重篤化する。
重篤化しやすいのは高齢者、糖尿病などの持病がある人が多い。潜伏期間は1日から2週間で、多くは5、6日程度。無症状でも感染力があり、発症の2日前から感染力があるとされている。
感染予防の基本
感染を予防するためには、マスク、手洗いなどの個々の感染対策、人との距離(ソーシャルディスタンス)の確保、さらに密集・密接・密閉の「3つの密」を避けることが非常に重要。これらを意識した新しい生活様式をいち早く身につける必要がある。
マスク・手洗い・消毒
「皆がきちんとマスクをし、騒ぎ合ったりしなければ、日常生活で感染することは少ないはず」と白木医師。オフィス内のパソコンや筆記用具、電車のつり革など、共用物は周囲の人との接触が考えられるため、使用方法や使用後の消毒などに注意を払うことが必要。
手洗いは、せっけんを使用し流水で30秒程度丁寧に洗えば効果的。外出先で、例えば電車から降りてすぐに手を洗えないという場合は、顔や目などを触るのは控え、可能な限り早いタイミングで手洗い・消毒をするよう心掛けてほしい。
飛沫感染予防
最近の感染状況の特徴として、接待を伴う飲食、多人数での会食、クラブ、カラオケやパーティーなどでの感染が目立つ。飛沫感染予防のため、大皿での食事摂取や大声を出し合うような状況は極力避けたほうがよいだろう。
世代別の注意点
外出時などは、2歳以上の子どもならマスク着用が望ましいが、夏季は特に熱中症の恐れもある。屋外で間近に人がいなければマスクを外すなど、状況に応じた対応が必要だ。
感染すると重症化する可能性の高い高齢者が、感染を恐れて外出を控えたため、体重が増えて糖尿病が悪化した、というケースもある。人が少ない時間帯に散歩に出るなど、日ごろの体づくりや健康管理にも気を配る必要があるとも指摘。
県内の現状の医療体制であれば、感染を心配する妊婦や、里帰り出産を希望する方も相談に応じてくれるという。
個々の意識
県内の感染者は概ね県外由来の感染で、多発地域への不要不急の外出は控えるのが望ましい。日々の生活では、マスク着用、手洗い・消毒の励行などの基本的対策とともに、毎日の検温や、体調の変化に敏感になることなど、「個々の意識」が大切になる。地域の情報にアンテナを張り、感染拡大防止に努めたい。
YOUよっかいち8月8日付186号7面から