目的別に見つけやすく 非常持ち出し袋

2016

 我が家の非常持ち出し袋、本当に必要なものは入っていますか――。四日市市笹川の中村恭子さん(70)は整理収納アドバイザーの視点から、災害時の生活をイメージし、「使う目的別にまとめ、見つけやすく使いやすく準備する」大切さを呼び掛けている。【中村さんが備えている「非常持ち出し袋」の中身=四日市市笹川で】

 東日本大震災で被災したアドバイザー仲間が「一般的な備えだけでは不十分だった」と語ったのを聞き、「的を射た備え」の必要性を感じた。市主催の「防災・減災女性セミナー」にも参加し、被災地の教訓も参考にしている。

 中村さんは、災害発生時に避難先でまず必要な1、2日分を用意している。「情報」「清潔」「睡眠」など8つの分野別にチャック付き透明袋にまとめ、リュックサックに入れてある。重さは4・5キロで、「これ以上重いと、私自身が逃げられない」と難しさを語る。

 最も重要視するのがトイレだ。「移動中にトイレに行きたくなったら」と想定し、携帯用トイレ2種類、防臭袋、除菌シートなどをリュックの外ポケットに入れている。便利なグッズの一つがポンチョで、排泄(はいせつ)時や着替え、授乳時の目隠しになり、防寒用やシートとしても使える。頭や首に着けるライトは、手が空くので便利だ。

 非常食にもこだわりがある。「湯の調達が難しい時、水でカップ麺は食べられない」ため、開封してすぐ食べられる棒状の栄養補助スナックを薦める。手を汚さず、腹持ちが良く、ごみも少ない。レトルトがゆは、そのままでもおいしい上に水分も取れる。フルーツのシロップ漬けは、ストレスのある環境で「ホッとさせてくれる」一品だそうだ。

 また、いざという時すぐに使えるよう「袋に入れるものは必ず使ったり食べたりして試すことが大事」と強調する。夏は防虫剤や冷却ジェルシート、冬はカイロなど、季節で入れ替えるため、5月と11月に中身を見直しているそうだ。

 

(2019年9月14日発行 YOUよっかいち第169号より)